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火災逃げ遅れ一酸化炭素中毒 その3

2019年01月12日 18:32

救急車内で測定された酸素飽和度も低かった。
自発呼吸はない。
気道熱傷と、一酸化炭素中毒が疑われた。
救急隊長は、
バッグバルブで人工呼吸を開始した。
頚動脈はよく触れた。
心臓は大丈夫だ。
老女を赤タッグとして、最優先で搬送を開始した。
八戸ドクターカーは、
古藤医師を載せて火事現場に向かっていた。
救急車は北上する。
そして、劇的救命ヘルメットを被った
古藤医師のドクターカーと、国道4号線でドッキングした。
劇駅救命の文字がプリントされたヘルメットから、
聴診器を使えるように耳当てを常時外している。
古藤医師は、胸部の診察をした。
バッグバルブで陽圧呼吸をすると聴診器で呼吸音がバリバリと悪い音が聞こえた。
このような呼吸音を、ベルクロ音と言う。
固定に使うマジックベルト、ベルクロベルトを剥がすときのバリバリ音だ。
指につけられた酸素飽和度計は80%と低い。
もちろん酸素100%で人工呼吸してもだ。

隊長に「収容は八戸救命です。出発お願いします」
聴診だけは、救急車を停車させて行う。
あとの診察は走りながらでもできる。
サイレンが鳴ってもできる。
隊長は機関員に
「出発」と。

揺れる車内で気管挿管が始まる。
挿管は容易だった。
気管チューブからは煤交じりの痰が吸引された。
患者は痛み刺激でわずかに、肘が曲がるだけだった。
「これはまずい、
重症だ」
除皮質硬直は変わらない。
古藤医師は気管挿管を成功させてすぐに、ERへ電話入れた。
救急室では森医師が受けた。
森医師は京都生まれ。
京都府立医大を卒業後、八戸研修医そして八戸救命で修業中。
「はい、人工呼吸器を用意して待ちます」
(続く)

火災逃げ遅れ一酸化炭素中毒 その2

2019年01月11日 18:31

零下の気温の凍結路をドライバーは注意深く運転する。
路面は黒く光り、
所々、白く氷が張っている。
幸い交通量は少ない。
大晦日まであと3日に迫った年の暮れの道路には、
平日の朝の通勤渋滞はなかった。

救急車とドクターカーは
途中のコンビニでドッキングした。
昏睡状態の1名が救急車内にいた。
痛み刺激で腕が屈曲し、脚は突っ張る。
除皮質硬直だ。
脳障害を意味する。
脳卒中、頭部外傷、感染症、中毒等で起こる。
顔にはすすがびっしりついていた。
老女はやせた、小柄な体型だった。

救急隊長の話では、
自宅火災で、老女は早く非難していた。
しかし、夫が逃げ遅れていることに気づき、
周りの制止を振り切って燃えている家の中に入っていったという事だった。
消防隊は、消火と救助を続ける。
危険な火災現場で、
レスキュー隊が火災家屋に突入する。
煙に満ちた居間の中に、
膝を折って座っている老女が発見された。
空気ボンベを背中に背負い、
面体で有毒ガスの進入を防ぎ、
火災の熱から体を守る防火服を着たレスキュー隊が、
見つけたのだった。
老女はレスキュー隊に抱えられて
火災の中から運び出された。
老女が燃えている家に再び入った直後に、
老女が心配した夫はすれ違いに救出されていた。
息子も救出された。

最後に救出された老女が最重症だった。
老女は昏睡状態だった。
(続く)

火災逃げ遅れ一酸化炭素中毒 その1

2019年01月10日 18:30

年末は事故、火災、急病が増える。
救急室はごった返す。
日本の過半数を占める開業医師は休みに入っている。
診療は一部の救急病院に限られる。

今日はドクターカー当番。
気温は零下。
朝の出勤も苦痛だ。
それでも
頑張って朝8時に救急室へ顔を出す。
ドクターカーが定位置にない。
おや、ひょっとして出動しているのか?

予想は当たった。
私が出勤する
8時の少し前、
三戸郡で起きた火災現場への出動だった。
午前7時48分119通報。
その数分後にドクターカー要請だ。
「3名受傷。
3名とも煙で気道熱傷。
うち一人は昏睡状態」

昨夜からのドクターカー当番は
古藤医師。
古藤医師は、北里大学を卒業後、
北里大学救命救急センターに所属していた。
八戸から北里大学へ転出した、
丸橋医師、の大活躍を見て、
自分も同じ救急研修を受けたいと思ったそうだ。
そして、今は八戸にいる。
通常は、医師の高度な研修を受けるために、
地方から都市部の大学病院へ転出することが多いが、
彼女は逆だ。
長い黒髪を手術用の帽子で隠し、
劇的救命のヘルメットを被る。
南下するドクターカーの中には、
緊迫する火災現場からの無線通報が入った。
(続く)

ERアップデートUSJ

2019年01月09日 18:28

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2月 2日[土]
7:05- 8:00 セミナー受付 & 朝食(会場内ブッフェ※1)
8:00- 8:15 Welcome Speech 林 寛之
8:15- 8:45 患者は嘘をつく ~Hx taking tips & pitfalls 林 寛之
8:45- 9:15 あついのサムイの飛んでけ~!? 箕輪良行
9:15- 9:45 バイタルサイン解釈のピットフォール 徳田安春
9:55-12:05 ワークショップA
1. ノロノロするな! 脱水の次の一手に強くなる 林 寛之
2. 心エコー入門 徳田安春
3. 救急医は謎解きがお好き!? チームで”呼吸困難”患者を救命せよ! 坂本 壮 12:15-14:15
14:25-17:05 ワークショップB
1. 洪水だ、地震だ、津波だ、バス事故だ 今 明秀
2. めまいフィジカル 箕輪良行
3. 実は急性期向き? とっておきの漢方レシピ教えます 小淵岳恒
0205_ワークショップ_今先生_スキル_24

2月 3日[日]
7:25- 朝食(会場内ブッフェ※1)
7:40- 8:10 ERの怪人 - ER Basic Approach - 坂本 壮
8:10- 8:40 危機的出血 今 明秀
8:40- 9:10 Visual Diagnosis in ER, Part 21 小淵岳恒
9:10- 9:30 質疑応答 & 修了証授与
9:30 解散
0205_全体会_今先生_講義_3

会場:KKRホテル 大阪
対象:臨床研修医110名
参加費:59,800円
主催:臨床研修プログラム研究
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ドクターカーで輸血を運ぶ

2019年01月08日 18:09

ドクターカーで輸血を運ぶ 最終

手術と集中治療が行われた。

しかし、患者の意識は戻らなかった。

輸血を現場に持ち出すシステムは、
東海大学にはある。
先進的な試みだ。

小笠原諸島までは、
東京有明埠頭からから専用小型冷蔵庫に血液を入れて、
船で運ぶ。

さらに、
ドローンを使った実験が始まった。
奄美大島では原医師を中心とした
救命救急センターが奮闘している。
そこでは、ドローンで薬剤を空輸する実験を成功させている。
同じ取り組みは、
ドクターヘリで有名な
日本医大千葉北総病院でも。
この先は、
輸血を保冷庫ごと空輸する、
ドローン作戦が待っている。

ドローンと輸血。
21世紀に後半には
普通になっていると思う。

ドクターカーで輸血を運ぶ 完