FC2ブログ

深夜ピックアップドクターカーで医師3名出動 その5

2018年10月24日 18:44

先の重症赤2名の処置次第で、この女性に処遇を決めることにした。

1 ○歳代男性。
救急隊現場STARTトリアージ赤。
SCU でのPAT法triage赤。
PAT法triageとは
身体所見から緊急度重症度を決めるもの。
スタート法トリアージより正確。
ただし、診療技術と診療時間を要する。
顔面外傷と気道出血による気道閉塞、
血圧130、意識昏睡状態JCS100,GCS7、
森医師と藤田医師2名で輪状甲状靭帯切開後に森医師1名が同乗し現場出発した。
ER入室後、頭部外傷の手術を開始した。
予測位救命率46%
劇的救命

藤田医師は輪状甲状靭帯切開後に救急車を下りて、
2番目の救急車へ移った。


2  ○歳代男性。
救急隊現場STARTトリアージ赤。
SCU でのPAT法triage赤。
橈骨動脈触れず、心拍数110、
呼吸数20、意識昏睡状態JCS300,GCS3、
救急車内で佐々木医師が気管挿管した。
藤田医師が蘇生的左開胸術施行。
末梢の血管が浮き出なかったので、
骨髄内輸液を開始した。

医師2名同乗し現場を出発した。
この時点で、
3番目の女性の追加処置はあきらめた。
救急隊単独で八戸ERへ搬送を隊長に告げた。
20歳代男性はER到着時心肺停止状態.
ERで緊急開腹手術を開始した。
肝臓、脾臓損傷があり。
心拍再開することなく、永眠した。

単独傷病者のドクターカー活動時は、
救急隊長の下に医師が着く。
指揮権は救急隊長にある。
医学的問題や緊急処置の時は、
医師が隊長の一時的に上位になるが、
落ち着き次第に、
指揮権を隊長に譲る。
一方、SCUでは、ほぼ病院の管理に似る。
したがって、そこは現場近くではあるが、
指揮権は医師が取る。
救急隊長から情報をもらい、
医師が全てを決定する。
それがSCU。
(続く)

深夜ピックアップドクターカーで医師3名出動 その4

2018年10月22日 18:43

先着したピックアップドクターカーは、
北を向いて停車した。
直線道路は、丘を越え緩やかな高低差を作ってコンビニ前につながる。
派手な赤色灯が連なって周囲を照らしながらこちらに向かうのが、
よく見通せた。
光から少し遅れて
零下の気温の空に、
ピーポーサイレン音の三重奏がこだまする。
3台が作る音は、
一大事を周囲に知らせていた。

連なって三重奏が大きくなった。
3台がコンビ駐車場に到着した。
3名の救急医は、反射板付きの赤い災害服を着こんでいた。
最近の救急医は黒や紺色の災害服を着こんでいることが多い。
昼の活動では黒でもいいが、
夜の活動では黒は目立たない。
危険だ。
二次災害に巻き込まれないためには、
反射板はもちろんだが、
目立つ色彩の災害服が望ましい。
八戸の災害服は13年前から赤だ。
英国の災害服は医師が赤だ。
国内では、災害服に赤を使っているのは、
八戸のほかに一か所しかない。
おしゃれではないが、
安全な色彩だ。
年間1500回出動する八戸ドクターカー医師は、
安全な赤を着る。

救急隊長がすぐに下りてきて、
赤い災害服の藤田医師に近寄る。
赤気道緊急が1名、赤ショックが1名、もう一人は赤の意識障害は回復しています。
藤田医師は、森医師を気道緊急に配置した。
佐々木医師をショックに配置した。

そして、3人目に藤田医師が接触した。
3人目女性はスタートトリアージですぐに黄と判断した。
これなら少し待てる。
(続く)

深夜ピックアップドクターカーで医師3名出動 その3

2018年10月21日 18:41


現場に向かう救急車には、
消防八戸から無線が入る。
「傷病者は多数。
最低6名。
数名車外放出」
消防八戸は、追加で救急車を手配する。

先着した救急隊3名がトリアージを開始した。
高級乗用車の5名中、3名は現場トリアージ赤。
2名は黒。
トラック運転手は緑。

まもなく追加の2台の救急車が到着した。
先に赤の3名を乗せて救急車3台が現場を出発した。
現場には、消防隊が残り
後続の3台の救急車を待った。
後続の2台は、黒の2名を収容し現場を出発した。
残り1台は4t車運転手のSTARTtriage緑を直近二次病院へ搬送した。

ピックアップドクターカーは中間地点のコンビニ駐車場(現場から3km)を
Staging Care Unit (臨時医療拠点SCU)とし南下してくる救急車を待ち受ける。

 SCU(臨時医療拠点、Staging Care Unit)
SCUステージング・ケア・ユニットとは、
広域医療搬送拠点とか広域搬送拠点臨時医療施設と言われる。
災害時
自衛隊の駐屯地や空港、
や広い平地のある施設などに
臨時の医療施設を立ち上げ
傷病者を集める。
そこで、しっかり緊急処置をして、
ヘリコプター、救急車などを使いしっかり治療ができる病院へ搬送する。
搬送中に、急変し死亡することを避ける。
このような作業をする拠点のことをSCUという。
・・・・・・
3台の救急車が
コンビニSCUに向かう。
(続く)

深夜ピックアップドクターカーで医師3名出動 その2

2018年10月20日 18:40

重大事故が起きた時に、
作動するDcallNETシステムは、
この高級車についていたかどうかわからない。
電気系統もすべて破壊されては、
上手く作動したかどうか私はわからない。
DcallNETについては、次回特集で書き込むことにする。

このように、
重大な交通事故ではあったが、
乗員を守る装置はそれなりに
働いていた。

しかし、
乗員5名は全員車外放出。
ひとりもシートベルトを装着していなかったのだろう(推測)。
5名全員,エアバッグの膨らむ0.04秒の間に、窓を突き破って車外に吹き飛んだ。
人間の目の瞬きが0.1秒なので、その半分でエアバッグが開く。

エアバッグの正式名称は「SRSエアバッグ」。
SRSとはSupplemental Restraint Systemの略で、
日本語にすると補助拘束装置という意味。
名前からも分かるとおり、
エアバッグはシートベルトの補助で、
シートベルトを着用することで効果を発揮するシステム。
シートベルをしていなかったら、効果はない。
重症外傷予防策が効かなかったときに、
救急隊JPTEC,ドクターカー、初期診療、手術、輸血、ICUが効果を上げる。

直近の救急車は1台現場に向かう。
そのあとを赤い消防車が支援隊として向かう。
白車、赤車が連ねて現場に向かう。
白車はピーポーサイレンで、
赤車はウーウーサイレンで。
赤車のサイレンは2種類ある。
火事現場出動では、ウーウーサイレンの合間に
カン・カン・カン(鐘がカン・カン・カンと)が入る。
救急出動ではウーウー(鐘なし)。
鐘をもう少し解説すると、
火事現場から帰る消防車は、
ウーウーなしで、鐘だけ。
カーン・カン・カンと、一拍目を伸ばす。
哀愁を帯びた音色だ。
ねぶた囃子の、出陣の笛と、帰り囃子の笛に違いに似る。
新青森駅のホームで鳴るチャイム代わりの笛の音は、
ねぶた囃子だが、
その音色は帰り囃子(戻り囃子)だ。

カン・カン・カンは火事現場への出動の知らせだ。
今回の赤車はウーウーサイレンのみで向かう救急出動だ。
(続く)

畑で心肺停止

2018年10月18日 20:06


午前8時39分同僚が目撃した。
40代男性畑で卒倒。
8時40分119通報
「畑作業を開始した直後に崩れるように倒れた。
意識朦朧、硬くなって唸っている」

46分救急隊は早くも現着
男性は心肺停止だった。
残念だがバイスタンダーCPRなし。
47分救急隊はCPR開始
三沢救急隊の馬場指導救命士が指示を出す。
救急隊員は効率よく動く。
8時49分AED解析で心室細動だ。
ボタンを押してショック1回。
その瞬間、ウーウーサイレンのポンプ隊が到着した。
PA連携で現場に消防隊が駆け付ける作戦だ。
AEDや、CPR中、、足元が悪い現場等、
救急車内への収容を短時間にするため、
2分節約するために、
消防車が現場に駆け付けるPA連携だ。
Pポンプ車。A救急車(アンビュランス)。

8時51分ドクターヘリ要請が八戸CSにホットラインで入った。
54分ドクターヘリが八戸を離陸する。
8時58分男性は救急車内で心拍再開した。
馬場指導救命士率いるPA連携隊の技の勝利だ。
9時1分着陸三沢ホスピタルパークに。
救急車の男性にフライトスタッフが接触した。
救急隊が心拍再開させてくれれば、
後を引き継ぐドクターヘリ隊は現場から
集中治療を開始できる。
社会復帰を目指した集中治療だ。
呼吸20回、脈あり78回
除脳硬直。
除脳硬直はよくないサインだが、
対光反射ありで、こちらはいいサインだ。
エコー券さでは心肥大あり。
心電図で左脚ブロックがある。
脳圧を下げるために、
二酸化炭素を適正に保つ。
そのためには、気管挿管だ。
人工呼吸だ。
挿管成功。
心エコーでは心臓の動きがよくないので、
病院で心臓けてーてる検査を予定する。

せっかく心拍再開した心臓だが、
もたもたすると、再び現場で心停止する。
ドクターヘリの現場活動時間を15分以内にとどめたい。
9時12分男性をドクターヘリへ収容した。
ここでも、屈強なポンプ隊に男たちが助太刀してくれる。
マンパワーで1分節約する。
安全確認してくれたポンプ隊を眼下に見て、
9時14分ドクターヘリは三沢市を離陸した。

上空500mで
突然徐脈となった。
頸動脈が弱い。
直ぐにアドレナリンを注射した。
9時22分八戸ER着陸した。
9時37分心臓カテーテル室へ移動した。

循環器内科医師が心臓カテーテル治療を開始する。

12時ちょうど男性は救命救急センターへ入院した。
体温は冷却され脳蘇生を継続する。
社会復帰を目指す。


10日後
男性はICD植え込み目的に弘大病院で転院した。
ICDとは体内に植え込む自動除細動器のこと。
次に起こる、心停止、心室細動に、全自動で電気ショックする機械。
心停止を予防する。

社会復帰だ。

劇的救命だ。