劇的救命日記マンガ第7話

2018年03月03日 19:42

当ブログのマンガ化です。

=Doctor's Gate=
に掲載されています。
https://www.drsgate.com/company/c00042/kon_index.php

PTDなくせるかも

7話

クラッシュ症候群と出血性ショック 最終

2018年02月27日 18:49

前もって首に入れた透析カテーテルが効果を出す。
もし、いつも通りに鼠径部に入れていれば、
大動脈遮断中は下半身に血流が行かないので、
下半身の血液を透析する作戦では効果がない。
首でよかった。

「蘇生成功!
全身状態を把握するよ。
ガス分して、体温測定して」私

「カリウム5台に下がりました」軽米
「それじゃ、手術を続ける。」私

60分後、脾臓の止血を追え、男性は手術室から外へ出た。
行く先はCT室。

2回目の頭部CTを撮影する。
もし、脳挫傷が悪化していれば
手術室へ戻り
開頭手術をする。
死の3徴が出ている。
低体温、凝固障害、アシドーシス。
特に凝固障害がひどい。
一旦止血した脳のケガの脳挫傷が凝固障害で悪化することが心配だ。

CT撮影中には何事も起きなかった
CTを直ぐに読影する。
「OK,開頭手術は必要ない。
CCM入室するよ。そして低体温治療継続」
男性は、CCMへ移動した。
「頭蓋内圧測定しよう。明石先生
脳圧センサー手術をお願い」私
・ ・・・・・
1時間後、「脳圧は8mmHgで問題なしです。」
明石医師の声
・・・・・
そして、7日後、復温も終了し体温は正常に戻った。
尿の色も量もいい。
顔色もいい。
透析は終了。
体の動きがある。

9日後鎮静剤をやめた。
すると男性は、開眼した。
手を握る。
「えっつ、すごい」安部医師
「抜管!」軽米医師が宣言した。

前日に米国から駆けつけた両親はまだ心配そうだった。
軽米医師は得意の英語で説明した。
「 He’s gonna be OK. You can count on us.」


11日目、男性は家族と米軍医師ともに、米軍機で帰国の途に就いた。

ISS43.
予測救命率23%
劇的救命
日本の外傷診療のレベルの高さを米国に示せた気がする。
ここは極東八戸。

クラッシュ症候群と出血性ショック 

クラッシュ症候群と出血性ショック その11

2018年02月26日 18:48

わずかに男性の体は震えた。
電気ショックがかかった証拠だ。
町田医師はすぐに胸骨圧迫を再開する。
出血性ショックでは、
簡単に心臓は動かない。
止血しないと動かない。
脾臓損傷なら、あと20秒もあれば、脾臓の根本に鉗子をかけられる。
そうすれば出血は一時的に止まる。
肝臓損傷なら、肝十二指腸靭帯を、
肝動脈と門脈が通る親指の太さの塊だが、ここに鉗子をかける。
これにより肝臓出血の7割は止まる。
残りは肝動脈が別なところを通る時があること、
合併する肝静脈損傷と下大静脈損傷があるときは止まらない。

私は脾臓と肝臓およびすべての腹部出血の大部分を一時的に止めることができる
大動脈遮断を選択した。

ドクターカー出動から戻った安部医師も手術に入っていた。
今度は手術ガウンを着て安部医師がCPR。
2分で胸骨圧迫を交代しないと、約6割で強さが足りなくなるから。
外回り看護師は足台を安部医師の足元に持ってきた。
胸骨圧迫のために、手術台はまだまだ高すぎる。
手術室には足台が何個もある。
普段の手術時に、助手などが術野を見やすくするために、
背伸びをしなくてもいいように用意されている。

CPR中、私は、右手を腹に入れる。
腹部は揺れる。
胸骨圧迫のリズムで心電図モニターに大きな波形が映っていた。
横隔膜の下で、腹部大動脈を3本の指で押さえる。
指で大動脈を遮断して、脳と心臓に血液を集中させる。
大動脈遮断には3つの方法がある。

1左開胸で胸部大動脈遮断大動脈鉗子で行う
2鼠径部の動脈から1mの長さの風船付きカテーテルを胸の高さまでいる。胸部で風船を膨らませて、大動脈遮断
3開腹手術で、食道と肝臓の間で、背骨の腹側にある、大動脈を指で背骨側に押しつける。

私は、3秒でできる3番目の開腹大動脈圧迫を選択した。
下半身の血流が遮断された分、心臓や脳に血液と酸素が回る。
高カリウム血症と、低血圧、貧血で心臓が止まったのだ。
それぞれを全力で治療する。
このように、致死的状況から、命をつなげる処置を蘇生という。
高カリウムに透析治療。
低血圧に大動脈遮断。
貧血に輸血。
3回の電気ショックで、男性の心臓は戻った。
(続く)

クラッシュ症候群と出血性ショック その10

2018年02月25日 18:47

出血性ショックの開腹手術は、trauma incision。
みぞおちから恥骨まで一気に大きく切る。
電気メスは使わず、はさみで切り開く。5秒で開腹できる。
そして、狙いの脾臓と肝臓にめがける。
多くの、大出血する内臓はこの二つ。
運よくこの二つは
肋骨に守られている。
だが、守る肋骨を超えてエネルギーが内蔵に加わると、
内臓は破裂する。
だから、右肋骨骨折があれば肝臓損傷を予想する。
左肋骨骨折があれば脾臓損傷を予想するのだ。
この二つの臓器をわしずつかみにして、
その周囲に止血圧迫タオルを入れる。
タオルで圧迫する。
どちらが出血だ?
出血が多すぎて見えない。
判断できないままに、
腹の中の大出血をタオルに吸収させ、
吸引チューブで血液を吸う。
吸引機の先には血液をためる大きな瓶が4つある。
吸引チューブが真っ赤に染まり、
連続して血液が瓶に入る。
ごぼごぼと音がして、
数秒前まで、男性の体を回っていた血液が
腹部のケガから勢いよく出て
吸引チューブに出る。
乾いたタオルは、赤い温かい血を吸引し、重くなる。
重いタオルは看護師が用意した
金属製の楕円形の洗面器に捨てる。
新しいタオルを看護師が手渡す。

この処置のわずか5秒後に、

「VFです。心停止です。」
手術ガウンで眼だけを出している町田医師は叫ぶと同時に、CPRをはじめた。
「わー、やはりなってしまった。AED作動させて」私
私の声を聞く前に明石医師は、AEDの充電スイッチを押す。
除細動パッドは貼られている。
ショックがかかる前に、
全員患者から離れた。
圧迫止血する手も放す。
その隙に
麻酔の軽米医師は、手術台の高さを素早く最低に下げる。
胸骨圧迫をやりやすくするために。
(続く)

クラッシュ症候群と出血性ショック その9

2018年02月24日 18:46

いつも使う、離被架リヒカは使わない。
腹から胸、頭まで一つのエリアとする。
手術中に心停止すれば胸骨圧迫を行うからだ。
術野の医師が胸骨を圧迫する。
そのためにはいつも使う麻酔エリアと手術エリアを分ける離被架を省く。
腹から胸、頭まで一つのエリアとした。
「高カリウム7.5でさらに悪化。VFの危険大です」軽米医師のが告げた。
予想外に心停止に対する胸骨圧迫ではない。
心停止は予想される。
高カリウムとアシドーシス、出血性ショック。
心臓は必ず止まる。

明石医師は、ちょうど、右頸静脈にガイドワイヤーに沿わせて透析カテーテルを進めようとしていた。
私はそれを制止した。
「タイムアウト。十歳代男性、出血性ショック、腹腔内出血で緊急開腹手術。
推定出血量1から2リットル、輸血は躊躇なくいれてよい。
クラッシュ症候群による高カリウム7.5で危機的。
術中心停止の危険大。手術時間1時間。おねがいします」私

「メス!」
先ほど手術室に到着したばかりの、看護師は、丸刃のメスを手渡してくれた。
明石医師は、透析カテーテル処置を修了した。
そして透析が始まる。
透析には
1カリウムを下げる
2尿素窒素などの老廃物を捨てる
3アシドーシスを改善する
4余分な水分を捨てる
と、4つの目的がある。
いまは、カリウムを下げるこのために透析を行う。
(続く)