北国から脳死臓器提供 最終

2012年03月31日 18:25

(ついに最終章)

肝臓摘出は新潟大学チーム。
そして、東京女子医大チームが、膵臓と腎臓を摘出した。
摘出手術が進むにつれ、
手術室から、人が減る。
最後には、手術の創を縫合する役割がある。
・・・・
男性は大役を果たした。
心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓二つ、
5名の日本人の命を救う。
・・・
男性の気持ちは崇高であった。
両側角膜も眼球ごと摘出を希望していた。
眼科医師が手術した。
・・・・・・
朗報が入る。
心臓は9時11分移植施設到着。
大阪で待っていた患者に、早速植えられた。
高い技術の手術。
八戸の患者の心臓は大阪で
血流を再開した。
その時刻なんと10時39分。
・・・・・

肺は15時5分移植施設到着。
すぐに、植えられた。
高い技術の手術。
患者の肺の血流再開は19時24分。
・・・・
その後、肝臓、膵臓、腎臓
すべて移植手術成功。
・・・・・・
救命救急と移植医療。
どちらも、命がけの医療。
多くの人が動く。
先進国の誇り。
医療者の仁。
航空機のスタッフの責任感。
国民の理解。
家族の心。
患者の心。
・・・・
思い起こそう。
初日、ドクターカー出動により現場で早期に酸素化を改善した。
脳を守るため。
まさか、臓器提供になるとは思いもよらない。
残念ながら救命はできなかった。
結果的に、早期酸素化の改善は
内臓の働きを守った。

救命不能を宣告すると家族は悲しんだ。
ドクターカー出動した安部医師も悲しんだ。
救急ナースも悲しんだ。

しかし、次の世代に臓器が受け継がれた。
その臓器の元気度を保つために、
ドクターカーは十分役立った。
救急ナースの集中治療看護が役立った。
国内で4例以上脳死臓器提供した施設はまだ少ない。

臓器提供経験数が多いことは、市民からの信頼の証。

後日、新聞に今回の記事が載った。
「どうして青森県内で、
八戸市立市民病院だけが脳死臓器提供4件で
他の県内施設はまだ経験がないのか」
青森県庁が答えていた。
「たまたまです」

今回5名の命を救った臓器提供を申し出てくれた患者と家族。
その半年前に1名、
さらにその前に2名。
東北地方では、青森県が脳死臓器提供件数で郡を抜く4件。
まだ未経験の県もある。
東北地方で複数回臓器提供している施設は他にない。

小児脳死判定マニュアルが院内倫理委員会を通過している。
ただし、小児からの臓器提供、こちらは、荷が重い。
市民病院レベルでは、多数のマスコミ攻撃に耐えられない。
八戸救命の力量をおそらく超える。

・・・・
そうだ、今日は私のヘリ番。
午前8時20分いつもの、ブルーのフライトスーツに着替えた。

今日も患者を救うため。
外の冷たい風に当り、眠気が吹きとんだ。

合掌
(北国から脳死臓器提供 完)




今回中心となり活躍した安部医師は、
八戸市立市民病院救命救急センター後期研修を卒業しました。
3月末日で退職です。
おつかれさまでした。


コメント

  1. 高校生のご意見番 | URL | GV7kq/BI

    一人の方の命が救えなかったことは残念ですが、その方の臓器が他人の体でしっかりと役に立つことができるということに現代の医学の進歩の証ですね。すばらしいです。安部医師、本当におつかれさまです。安部医師は、どこか別のところに転勤なさったんですか?それとも本当に退職されたんでしょうか?

  2. 六ヶ所村人 | URL | LaVwoRLA

    がんばってくださいね!

    阿部先生も卒業ですか?高田先生もいなくなったし寂しいですねでも、のこっている先生方がんばってくださいね!多くの患者さんを救ってきださいね!

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