ドクターカー、ピックアップ出動、手術、ERすべて同時 その2

2012年03月12日 21:30

骨盤後腹膜を開放にする。
膀胱と恥骨の間に手を入れる。
ゴム手袋のさきに、鋭利な骨折が触れる。
赤い血が吹き出る。
かまわずに、そのスペースにタオルを入れて圧迫止血パッキング。
4枚タオルを入れ、骨盤の止血処置は終了。

次は腹部手術。
左横隔膜損傷に向かう。
横隔膜は胸と腹を分ける膜。
膜なのに、筋肉でできている。
横隔膜が破れると、呼吸困難になる。
緊急処置が必要な外傷の一つ。
術前レントゲンでは
肺挫傷がある。
横隔膜の手術で、開胸は不要。
腹部からの操作で、多くの横隔膜損傷は修復できる。
しかし、今回の横隔膜損傷では、横隔膜動脈から出血している。
横隔膜から、勢いよく出血する。
吸引しながらの操作。
麻酔の吉村医師は輸血を追加していた。

横隔膜は絹糸で縫合した。
吸収糸は原則使わない。
連続縫合でなく、一本一本結ぶ。
基本に忠実に行う。
問題となるのは、結び目が外れること。
結びやすい絹糸を好きだ。
絹糸は、感染に弱い。
都合のいいことに、
横隔膜単独損傷なら、
感染しにくい。
しかし、絹糸を手術室からなくした病院もある。

手術法は最近変わってきた。
吸収糸で連続縫合する外科医もいる。
しかし、
非吸収糸、水平マットレス縫合が基本なことを忘れない。

腹壁は、プラスチックバッグで覆い、透明フィルムで補強した。
腹部の内圧を下げるため。
open abdominal managementという。


続けて、血管造影室へ移動する。
動脈塞栓術(TAE)と膀胱造影をする。
こちらも、メンバーは同じ。
・・・・・・・・
血管造影室へ移動中に、吉村医師からのPHSが鳴った。
ポンプ車ピックアップで現場へ出動した銃創の患者、
銃弾は散弾銃。頭部に命中している。
数箇所。
見てほしい。
・・・・・
私はERへ顔を出した。
ERでは千葉医師があっちこっち動いていた。
「千葉先生、ありがとう。手術終わり。
ドクターカーも対応可能。
1時間くらいで帰宅していいよ」
銃創の患者を診察した。
(続く)


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