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肝損傷 その4

2012年03月01日 20:24

できあがった、胸部レントゲンでは、両側に強い肺挫傷がある。
左の横隔膜がはっきり写る。
横隔膜がはっきり切れ目がするどく見えれば気胸。
サルカスサイン。
この場合は、小さな気胸を疑う。
人工呼吸を開始している患者で小さな気胸は、直ぐに大きな気胸に膨張する。
そうなれば、危険。
はやめの、処置がよい。
左胸にチューブを入れる。

骨盤レントゲンは、左右のバランスが崩れている。
右の仙骨の穴が左より不鮮明。
すなわち骨盤骨折。
見逃しやすい仙骨骨折。
その落とし穴にはひっかからない。

腹の超音波検査では、腹腔内出血が増えている。

「メインは腹だ。開腹術用意」私は宣言した。
「麻酔は、救命医でやろう」私
腹部外傷+骨盤外傷は救命がむづかしい。


「血液ガスが悪いです。
呼気終末圧をすでに10cmかけています」吉村医師がガス分析結果を報告する
「この肺挫傷で、手術室の麻酔器では無理だ。
人工呼吸器840をバッテリー駆動のままで手術室へ移動するよ、
MEを呼んで」私

「誰か、予測救命率出せる」私
「自分ができます」千葉医師が声を上げた
「AISは小さく見積もって肺挫傷3、腹部外傷3、骨盤3、
あとはバイタルサインはモニターどおりで計算して、
鈍的外傷、55歳未満」私

「70%です」千葉医師はアイフォーンで計算してくれた。
「よし、助けられる。手術に備えて、
ソケイ部の動脈にラインをいれて、
大動脈閉鎖バルーンを術中使うことになるかもしれない。
入室は15分後」私は宣言した。
「はい、分かりました」赤い災害服を脱いだばかりの河野医師が答える。
中に着ていたspirits of hachinoheと背中に書かれた青のスクラブは
汗で濃い紺色に変わっていた。

「家族を入れて」私は、母親に説明した。
「胸、腹、骨盤外傷です。
救命率は7割です。
きっと助けますが、
重傷です」
母親は泣き崩れた。

手術室へ、大移動だった。
人工呼吸器は、MEにより、酸素ボンベからの配管に変更されていた。
輸血加温装置、モニター、さまざまな生命維持装置ともに廊下を移動した。

「バックボードは手術室ではずしていいですね」安部医師
「その通り」私
劇的救命チームは大移動を始めた。
(続く)


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