ヘリ内分娩 前編

2012年01月19日 20:26

心室細動でER搬入された患者。
電気ショックで除細動成功した。
救命救急センター入院後、今度は脈なし心室頻拍となる。
電気ショックですぐにもどったが、数分後にまた、脈なし心室頻拍。
ペースメーカーを一時的に留置した。
人工呼吸を開始した。
二日後再び脈なし心室頻拍。
アミオダロンを注射し、その後は安定した。
心臓カテーテル検査は異常なし。
植え込み式除細動器が必要な状態だった。
植え込み式除細動器の手術は、数年前までは、当院でもやっていましたが、
今は必要な患者は弘前大学へ転送しています。
翌朝弘前大学へ搬送の計画。

そしてその朝、
8時30分過ぎの離陸で準備を進めました。
ドクターヘリのストレッチャーが、
救命救急センターまで患者を迎えに行こうとしていたそのとき、
別な事案が発生しました。

40km離れた、町で起きた事案です。
自宅で妊婦が破水。
119番通報は自宅から8時12分でした。
すぐに救急車は出動しました。
8時19分救急隊は現場到着。
患者を観察します。
破水あり、
モチロン頭は出ていません。
陣痛間隔は、聴取できません。

8時26分救急車は現場出発。
隣の町の病院の産科、
あるいはさらにとなりの産科医院に収容してもらうために、
救急車をその方向に走らせました。
走りながら収容依頼の電話をかけます。
しかし、両施設では収容不能!!!

救急隊長はひるむことなく、
次のというか、最後の選択のドクターヘリ要請です。
「青森県ドクターヘリは、周産期の対応は原則しない。
必要な場合は、防災ヘリを使う」というのが県庁からの通達でした。

患者発生場所に防災ヘリしらかみが到着するまでは、
要請してから最低45分はかかります。
それでは分娩してしまうかもしれません。
だから、隊長は最後の選択のドクターヘリを要請しました。

8時36分ドクターヘリ要請。
「妊婦が破水している。近隣産科病院で受け入れ不能。ドクターヘリ要請」

ドクターヘリ出動のコードブルーPHSが鳴ります。
フライトドクターは明石医師と町田医師。
通信指令室に走ります。
詳しいことは何もなし。
「破水の妊婦」CS
「こっちが先だ」明石医師
弘前大学への心臓疾患ヘリ搬送は延期。

新生児蘇生セット、外傷セットはヘリに積んでいます。
二人は緊張した面持ちでヘリに走ります。

私は産科医師に連絡しました。
8時40分ドクターヘリ離陸。
私は、通信司令室で、当該消防へ電話を入れます。
「週数は分かりますか。何ヶ月ですか。経産婦ですか、検診は」
周数が小さければ、破水という言い方はしないはずだが・・・・
「経産婦、検診受けていません。未受診です」消防の声
すぐに、飛行中の青森県ドクターヘリに伝えます。

私は、産科医師にも伝えます。
「30分後に、妊婦は八戸のヘリポートに到着予定。
ヘリポート脇での待機をお願いしたい。」
8時49分ランデブーポイント到着。
8時50分患者接触。
発露なし。頭は出ていません。
超音波では、児の動きと心臓の動きは活発です。
「大丈夫だ。」ほっとした明石医師でした。
(続く)


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