ドクターカー2号出動 後編

2011年11月28日 20:54

カーナビも頼りにしながらの出動だ。

「八戸ドクターカー2より八消本部、病院出発しました。誘導お願いします。」

向かうべき方角は、事前情報で知っている。
病院を出たドクターカー2号は大雨の中、
赤色灯とサイレンで警告を発しながら時速5okmで走行する。
視界が悪く、それ以上のスピードは危険。

八戸消防指令課も心得ていた。
医師の運転するドクターカー2号を、現場直近までは誘導させなかった。
不慣れな運転では道に迷うこともあるし、狭い道での危険も伴う。
幹線道路でのドッキングを指示した。

吉村医師が運転するドクターカー2号は、ドッキングポイントに先着した。
「溺水か、低体温か、それとも濁流で高ネルギー外傷か?」
多くの可能性に思いを巡らしながら、バッグを担いだ2人は救急車を待つ。

まもなく、救急車のサイレンが近づいてきた。
高田医師と吉村医師は、救急車に乗り込んだ。

患者は、頭痛を訴えていた。
血圧は高く、意識障害あり。
外傷、低体温、溺水はなし。
麻痺はなく、血糖も正常だった。

高田医師は、くも膜下出血を疑った。
幸い、気管挿管するほど意識は落ちていない。
輸液路を確保して、鎮痛薬と血圧降下薬を投与した。

「SAH [subarachnoidal hemorrhage, クモ膜下出血] を疑います。
 振動に配慮して発車して下さい。」
高規格救急車のストレッチャーは、エアサスペンションを装着している。
細かい振動は患者に伝わらない。

吉村医師は、救急車から降りることにした。
ふたたびドクタカー2号のハンドルを握り、病院へ向かう。

八戸ER には、高田医師が乗った救急車が先着した。
その6分後、橋本医師が乗った救急車が到着した。
さらに数分後、吉村医師のドクターカー2号が到着。



ラピッドドクターカー2台を自在に運用している救命救急センターは、
国内わずか1施設、八戸劇的救命チームだけ。

マンパワーが困難な状況でも続けられるのは、先駆者としての誇りがあるから。
(完)
ドクターカー



コメント

  1. 放射線・放射能情報ニュース | URL | -

    いつも興味深く読ませていただいています。
    『先駆者としての誇り』のところにグッときました。
    ひとりでも多くの命が救われますように・・・
    ご活躍と皆様の安全を祈っています。

  2. 上野幸廣 | URL | cxq3sgh.

    感動しました

    八戸救命の皆様方へ

    茨城県つくば市の筑波メディカルセンター病院救命の上野と申します。今所長には学会等で何度かお目にかかりました。八戸のパワーとプライドに恐れ入りました。この状況でも出動することは、同じラピッドカーを有する病院としてとても困難であると実感できます。それでも何とか出動するのは、やはり先駆者としての誇りですね。我々も負けないように頑張ります。今後ともこのブログの一ファンとして見続けます。どうか皆様、お体を大切に。今後ともよろしくお願い申し上げます。

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