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六ヶ所村の邂逅 その1

2011年09月21日 19:56

核燃料サイクル施設が注目を集める青森県六ヶ所村。
そこには、僻地医療に燃える医師たちがいる。
リーダー役の松岡医師は、自治医大の私の後輩。
全国から若い医師が、彼の指導を仰ぎに集まっている。

時代は変わった。
教育があれば、へき地でも若い医師が集まる。


青森県ドクターヘリは弘前市に出動途中だった。
十和田湖の手前で、通信司令室から無線が入った。

「六ヶ所村消防が、ドクターヘリ出動について天候状態を尋ねてきた。
 これから患者を六ヶ所村尾鮫診療所に運ぶらしい。」
「青森ドクターヘリ、了解」

そのまま西へ飛行した。
9時29分、弘前市運動公園に着陸した。
患者は待機していた弘前救急11に乗せ換えられた。

軽米医師が同乗して、弘前脳卒中センターに患者を送ることになった。
「救急車搬送中に別事案のヘリ要請があれば離陸する。
 その時は電車で帰って来てね」と私が言うと、軽米医師は頷いた。

準備が整ったので、 CS に電話した。
「六ヶ所出動の件、どうなりました?
 こちらは着陸してて、10分後には離陸できます」
「ドクターカーが出動しました。
 ドクターヘリが出動できるなら、お願いします。」
「それでは、機長と相談して下さい」
機長に電話を替わり CS と話してもらう。
燃料は25分の飛行が可能。天候よし。
ランデブーポイントは六ヶ所村第二中学校グラウンド。
10分後に離陸、と決まった。

サイレンを鳴らして公園から離れていった弘前救急11は、
軽米医師を10分以内に連れ戻してくれるだろうか。

「エンジンスタートいいでしょうか」機長が尋ねる。

「はい」と答えた瞬間、携帯電話が鳴った。
「六ヶ所どうなりました?」軽米医師だ。
「出動するよ。もうすぐエンジンスタート」
「これから病院を出ます。あと2~3分」
「それなら、待っている」

電話を切ったのを確認して機長はセルモーターを回した。
ゆっくりとメインローターが回り始めた。
整備士が、機体周りの点検を始めた。
離陸直前に、整備士は必ず機体の全周を眼で見て歩いて回る。
要所を手で押さえたり、引っ張ったり。

エンジン音はまだ低い。
離陸まで、あと1~2分くらいだろう。
私とナースは既にヘルメットをかぶり、シートベルトを締めている。

白車が左側に見えた。
ヘリコプターの右側で停止した救急車の横ドアから、軽米医師が降りる。
整備士は軽米医師を右ドアに誘導した。

軽米医師は機体の前から廻り込んで、EC135に乗り込む。
「間に合ってよかった。六ヶ所村でけいれん重積患者」
「分かりました」

(続く)


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