お盆期間は大忙し ~その2

2011年09月04日 21:45

(悪天候が迫る限られた時間のなか、着陸したのに患者が到着せず・・・)

9時40分、七戸町運動公園に着陸。
ところが、患者を乗せた救急車は先ほど七戸病院を出たばかり。
メインローターが完全に停止しても、救急車の音すら聞こえない。

「ここで救急車と、無線交信できますか?」私は機内通話で機長に話しかけた。
「できますよ」と、無線の電源を立ち上げてくれた。

「青森ドクターヘリ1より中部救急2。
 天候悪化です、現場処置時間ほとんどありません。
 患者のモニターなどをはずして、直ぐにヘリに収容できるようにして下さい」私
「直ぐに収容の件、了解」
「申し送りは、離陸してから無線でお願いします。」
「了解」

時速200kmでは激しい雨だったが、陸では小雨。
これくらいの雨なら、厚手のフライトスーツはびくともしない。
雨を吸った芝は、鮮やかな緑色を放っていた。
白いEC135と緑の芝。コントラストが美しい。

機長が操縦席を降りて、私に言った。
「気管挿管を優先させて下さい。
 この天候では、ヘリに乗せても離陸できないかも知れません。
 なるべく早くヘリは離陸します」

じき雨が強くなってきた。視界も悪化している。

「機長、先に離陸して下さい。十和田市か六戸町でドッキングしましょう。
 我々は救急2で南下します。無線でランデブーポイントを決めましょう」

そして私は携帯無線機に向かった。
「青森ドクターヘリ102より中部救急2。
 天候さらに悪化、救急車で患者を陸送します。」
「患者陸送の件、了解」
やっとサイレンが聞こえてきた。

整備士は携帯電話で、CSに天気図を確認している。
「すでに十和田市まで雲が迫っている。七戸からすぐ離陸した方が安全。」
安全な飛行には、常に CS の情報が欠かせない。

中部救急2が芝に上がってきた。
停車してすぐ後部ハッチが開き、家族、看護師、医師が下りてきた。
9時45分、入れ替わりに我々が乗った。

男性は痙攣中だった。
痙攣が30以上持続している状態を、痙攣重積と呼ぶ。
けいれん止めの薬が使われていたが、効きが弱いようだ。
「気管挿管するよ、鎮静して」
もちろん安部医師は、最初からその手はずを整えていた。

私は、七戸病院の医師に言った。
「天候が悪く、ヘリコプターは使えません。
 この車で八戸へ向かいます。申し送りをお願いします」

9時50分、EC135が離陸した。
その直後、救急車もサイレンを鳴らして南下し始めた。

天候は不安定。
たとえここを離陸しても、八戸まで無事に着く保証はない。
上空で右往左往したり、場合によっては戻ってくる可能性さえある。
だから、1時間以上かかっても安全な救急車搬送を選択した。

(続く)


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