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出血性ショックにドクターヘリ効果 その2

2011年08月27日 23:50

(野辺地で発生した重傷外傷、迅速治療で救命を目指す)

八戸ER入室時は血圧103/33、脈拍67、呼吸数17、開眼あり GCS 13。
バイタルサインは改善している。
酸素投与、輸液1500mL、骨折した四肢の固定が効いたようだ。

出血が全血液量の15~30%のとき輸血は不要、点滴だけで血圧は安定する。
出血量30~40%だと輸血が必要で、一旦安定した血圧があとで下がることがある。
出血量40%以上では、輸血と手術の両方が必要。

この患者の出血量は、15~30%か、30~40%か、今後の様子で結果が分かる。
いったんよくなった血圧が低下すれば、30~40%の出血があったはずだ。
その場合、輸血+手術になることが多い。

ERで外傷診療のprimary surveyを開始する。
胸を押すと痛がる。胸部ポータブルレントゲンでは左肋骨が8本折れている。
そして超音波検査を繰り返すと・・・・
現場ではなかった腹腔内出血が出現した!!!

これで分かった、現場の意識障害は出血性ショックのせいだ。
30%以上の出血では意識障害が出る。
ちなみに、血圧低下した患者の60%に瞳孔異常が出る。

外傷の三大出血源は胸、腹、骨盤。
だから、CTで胸部と腹部、骨盤の評価が必要。
そして中等度意識障害に対して、頭部CTも必要。

とはいえ、ショック状態が続く患者にCT撮影は危険すぎる。
CT室で急変すると十分な対応ができない。撮影中は手も出せない。

バイタルサインが改善してきたので、CT撮影を安全にできると判断した。
しかし、CT を撮影した後に血圧が下がった。

一旦良くなった血圧が再び下がる病態を、Ttransient responderと呼ぶ。
出血量が多いことを意味し、あなどれない。
腹腔内におかしな所見があれば、開腹手術が安全だ。

じりじりしながら、できあがったCT画像を見て驚いた。
十二指腸周囲に出血があり、大きい血種が見えた。

確かに、患者の胃の中に入れた管から血液が出てくる。
十二指腸損傷からの出血が胃に逆流したのだ。
これはやはり、手術が必要な十二指腸損傷。

19時ちょうど、手術室へ移動した。

開腹すると、腹部のど真ん中に黒い血の塊が現れた。
握りこぶしくらい大きい。

それを除いた瞬間、赤い血液が吹き出た。
「出てるぞ」私は麻酔担当の吉村医師に叫んだ。
新美医師が、吸引管を術野に入れる。
出血点が見えた。
耳には、速くなった心拍数の電子音が響く。
「血圧下がっています」と吉村医師。

(続く)


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