帰ってきたJA112D その11

2011年08月23日 19:42

(三沢で発生した交通事故現場では、レスキュー隊が救助作業に取り組んでいた)

一隊が油圧カッターで、前窓の上縁2カ所に切れ目を入れている。
天井に登った別の一隊は、荷台の近くをハンマーで叩いている。
ハンマーで凹んだ窪みは、幅20cm ・深さ10cm ・長さ2m ほど。

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レスキュー隊は、終始、破片が男性の体に飛び散らないように、毛布で男性を守る。
救急隊長は、酸素マスクをあてがいながら患者を励ましていた。

そして油圧カッター隊が窓の上縁を切断した直後、
厚い絶縁手袋を履いた天井のハンマー隊が、ガラスのないフロントガラスの上縁に両手をかける。
「エイヤー」という気合とともに、天井はハンマーの窪みを谷折りにした折り紙のように二つ折になった。運転席は丸見え、男性の表情が正面からも見える。

17時15分、野田頭医師が患者の右腕に点滴針を刺した。
こんな現場に近づくためには、安全装備が必需品。
安全靴、長袖厚手のつなぎ服、ヘルメット、ゴーグル、手袋。

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救出用のワイヤーロープが、男性の脛を挟んでいた車体に絡められる。
オープンカー状態で剛性を失った運転席が、ギシギシと悲鳴を上げ破壊されていく。
そしてようやく、患者は運転席から救出された。

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17時31分、男性を乗せた救急車ランデブーポイントに到着、ヘリに載せ換えた。

そのとき、整備士の携帯電話が鳴った。

17時32分、青森市からドクターヘリ要請。
「青森市郊外雲谷ヒルズスキー場付近で大型車単独事故、出動できるか?」

「たったいま、ドクター・ナース・患者がドクターヘリに到着しました。
 これから離陸です。ドクターに代わります」と整備士が答えている。

「聞きました、雲谷ヒルズスキー場で事故ですね。
 こちらの患者の初期治療は終わりました。ヘリで約10分、救急車で約40分。
 青森市の事案を優先させます。三沢の患者は、ドクター付添いで救急車搬送します。」
「燃料もちますか?」CS は残燃料も配慮する。
「大丈夫です。これから患者を救急車へ載せ換えてから離陸します。
ドクター今とナースで向かいます」電話を替わった整備士。

整備士が引き上げかけた三沢救急3を引き留め事情を話すと、すぐ理解してくれた。
この場にいない三沢消防本部は、事情を理解するのに多少の時間を要したが、
警防隊長が「今センター長の決定」と告げると、納得してくれたようだ。

多くの消防職員を巻き込んでの人命救助。
青森市の患者を救うため、三沢の消防が動く。
野辺地の患者を救うため、階上の消防が動く。

17時42分、救急車が現場から八戸へ向けて発進した。
幸い、男性の気道・呼吸・循環・意識・体温は安定していた。
全脊柱固定、酸素投与、輸液と麻薬の注射、野田頭医師の付添いで問題なし。

17時43分、救急車が離れるのを確認した EC135は、メインローターを回した。
いよいよ7回目の現場出動だ。

(続く)


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