心嚢穿刺 その2

2011年06月13日 18:56

待ちかねたように野田頭医師が患者に接触する。
冷や汗どっぷり。髪はシャワーのあとのようにずぶ濡れ。
全部冷や汗。
輸液開始するため、肘の静脈に針を刺した。
点滴は全開で開始する。
そして、心音を聞いた。
心音は弱い。遠い。
心音の聴診は、このタイミングでしかできない。
救急車の中では、サイレンがうるさくて心音は聴くことができない。

野田頭医師は続ける
脈拍は、右トウコツは触れない。左トウコツは弱いが触れる。
脈拍の強さに左右差がある、胸痛だ!。

答えは大動脈解離。
心音が弱いのは、そしてショックなのは心タンポナーデを疑う。
車内収容する。
車内で心電図12誘導を取る。
ST上昇はない。
車を発進させた。
すべての胸痛患者に接触10分以内に行うことは
心電図12誘導都バイタルサイン聴取。輸液確保。酸素。
そして次に、超音波とERならレントゲン。

そうだ、次に行うことは、超音波検査だ。
最初に心嚢液を見る。
「あっつ、やっぱり心タンポナーデ」野田頭医師が強く言う。
「あと、ERまで何分。
15分なら、心嚢穿刺します」野田頭医師
「あと、3分」河原隊長が言う。
「それじゃ、このまま、ER入室にします」野田頭医師
原医師がハッチを開けた。

女性は、真っ青な顔でERに入室した。
両側トウコツ動脈が触れない。
ショックは進んでいた。
超音波検査をもう一度。
「やはり、心嚢液が大量だ。」野田頭医師
原医師は、剣状突起の周囲を30cmイソジンで消毒する。
私は、患者の上体を30度上げた。
患者は痛みをもはや訴えない。
「ウー、ウー」だけを繰り返す。
顔色は赤みを失い土色。
死相が漂う。



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