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雪ウサギの如く走れ

2011年06月09日 23:38

本当に心肺停止だったのか。
それとも失神か。
失神は意識が数分なくなる。
一般市民が心停止を確認する方法は、呼吸の異常と意識。
呼吸が止まりそうか、あごだけで行う下顎呼吸は心停止を意味する。
もし今回心臓が停止し、数分で心拍再開したとすれば、
心肺停止の原因は不整脈疑いが濃厚。

もし失神なら原因は、命に関わる不整脈から、一回きりの迷走神経反射までさまざま。
安静時発症なら、心臓、不整脈が心配。

短時間のうちに失神を繰り返す患者もまれにある。
さらに不整脈が致死的だと命に関わる。
(2月2日の記事)
消防隊員にバックボードを支えられて、患者はドクターヘリに収容された。
8時47分救急車に患者を収容し、医師看護師同乗で、現場を出発した。
EC135の機長は、町田医師たちの雪への埋まり具合を見て、
この場所での患者収容をあきらめた。

ポンプ隊と打ち合わせどおりに、少し離れた道路上に着陸することにした。
いったん雪原を離陸し、農道に向かった。
そして、誰もいない、車もいない農道に着陸した。

患者を乗せた救急車の隊長には、この手はずがすでに伝わっていた。
「先ほどの、医師看護師現場投入した場所は、
雪が深く患者をヘリコプター内に収容することは不可能。
よって、現場より少し離れるが安全な農道にEC135は移動する。」

8時51分救急車は農道へ到着した。
前方30mに、EC135が先行着陸していた。
患者を収容するために、救急車から患者を下ろした。
雪道をストレッチャーを押しながらゆっくりと進む。
救急隊員も滑った。

町田医師は慎重に歩く。滑らない。
雪ウサギの原医師はここでも歩くのがうまい。
8時57分離陸

機長は、離陸時のすべりを気にしながらスロットルをあげた。
離陸成功。

9時01分 氷のない八戸市立市民病院ヘリポート着陸
ERでは心肺停止と失神の鑑別診断検査が行われた。
24時間持続心電図モニター、ホルター心電図をつけて救命救急センターに入院した。
入院2時間後、心電図に変化が現れた。
心室頻拍だ。
ただし、意識は落ちない。
後で心電図を確認したが、24連発の心室頻拍だった。
心エコー検査では、心拍出量は正常。
心筋酵素の上昇もない。

リドカインの持続投与を開始した。
致死的不整脈が起きて、心臓が止まったのだろうか、
それとも失神で済んだのか。
家族によるCPRが早かったので、結果は最良。

翌日循環器内科に患者は転科した。

冬、雪だからこそ活躍するドクターヘリ


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