僻地施設に希望のヘリ(最後の日は近し)  その5

2011年05月30日 18:46

しかし、患者がおとなしくしていたのは、その後の1時間だけだった。

肺炎による敗血症を考えて、血液培養検査を行った。
「痰を出して下さい」吉村医師が強く言うが、患者は口を閉ざす。
痰を出せないなら、肺炎の治療にならない。
鎮静剤をはじめる。

1時間30分後、暴れだした。
「気管ソウカンします。人工呼吸継続はNPPVでは無理です。」
3年目の吉村医師はサーっと気管ソウカンした。
チューブの位置確認も正確。
「胸郭挙上よし。胃の音よし。5点聴診よし。水蒸気上がりよし。」
「うまいね、ソウカン」私
「現場ソウカンに比べれば、軽いです」
ドクターカー出動で鍛えていた吉村医師らしい言葉だった。
彼はJ3医師。

酸素比を調べる。PaO2 76/FiO2 0.5=152
現場で簡易検査した数値(143)とほぼ一緒だった。
ARDSの長い集中治療が始まる。

・・・・・・・
先の患者の人工呼吸が安定した頃、ER当番の野田頭医師に外線電話が入った。
「転落外傷、男性、頭部外傷、SDHとICHの収容と、ドクターヘリをお願いしたい」
五戸町の田中医院からだった。
田中医院の院長は私と同い年。

青森県ドクターヘリの60%は現場出動。
10%がキャンセル。
30%が医療施設からの転院搬送だ。
転院搬送の依頼の多くは小規模病院や僻地診療所、遠隔地の病院が多い。
医師会の診療所からの依頼は少ない。
複数回要請があった医師会の診療所は東北町の医院と五戸町の田中医院の2箇所。
田中医院の院長はドクターヘリの有効利用を熟知している。
重症患者の転院相談をした15分後には、
すでに救急医の手にゆだねることができるから。

13時5分、田中医院から八戸消防にドクターヘリ要請依頼の電話が行った。
13時6分消防から、ドクターヘリ出動要請がCSに入った。
今日2回目だ。
13時9分先ほどのメンバーで離陸。
五戸町のひばりの公園屋外ローラースケート場は、
五戸町のランデブーポイントでよく使う。
「冬季の積雪時期は、ドクターヘリ1年目冬は消防団の有志が除雪して備えてくれた。この冬は町で除雪しているらしい。
常時除雪を心がけています。」と八戸消防五戸署のポンプ隊の言葉
(続く)

追加情報:明日で青森県ドクターヘリ基地病院八戸は最後です。
6月1日から、青森市との月別交替になります。


コメント

  1. 学生 | URL | -

    いよいよ最後の日になってしまいました。。。この事実を知ってから、寂しくて仕方ありません。八戸ERには二度見学に行かせて頂いています。QQ志望の自分にとっては、そのたびにDrヘリを憧れの思いを強くしてしました。自分が八戸ERの一員になれた将来、いつしか八戸ERにヘリが戻ってくることを期待しています。

  2. シエルママ | URL | -

    とうとう最後の日ですか・・・。寂しいですね・・・。それよりも、不安で仕方ない方達が居るんですよね・・・。ま、ここは言いたい事をグッと堪えて、青森出張いってらっしゃいv-422 

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