僻地施設に希望のヘリ(最後の日は近し)  その4

2011年05月29日 18:45

やはり両側の肺炎の影がある。
酸素比を計算する。
六戸病院のデータPaO2 44を見る。
カヌラだから酸素濃度0.3くらい。
PaO2 44/FiO2 0.3=44/0.3=143だ。
200以下で両側肺に異常な影があるのをARDSと言う。
ARDSは重症呼吸障害。
(酸素比はPaO2/FIO2 のことで、吸入気酸素濃度に対する動脈血中の酸素分圧の比.
動脈血酸素分圧を吸入気酸素分画で除したもの。
oxygenation index と表記してある場合もある。
350から400 以上が正常と考えられる。
急性肺損傷の診断基準にも用いられている。
ARDS の患者や肺の酸素化能をみるための指標になり、
一般的にこのP/F Ratio の値が200 以下の患者はARDS と考えられる.
ARDSとは急性呼吸窮迫症候群 (きゅうせいこきゅうきゅうはくしょうこうぐん、acute respiratory distress syndrome) とは、臨床的に重症の状態の患者に突然起こる呼吸不全の一種である。)

病歴は、約一週間前から風邪から始まった呼吸困難。
結論は、肺炎によるARDS.
気管ソウカンと人工呼吸が必要だろう。
患者の協力が得られれば、マスクによる人工呼吸でもよし。
さらに、病歴は大酒家。
たぶん、協力は得られないな。
 
患者をヘリコプターへ誘導した。
先ほどまで使っていた酸素鼻カヌラをはずして、酸素リザーバー付きマスクに変えた。
酸素流量はそれまでの3リットル/分から10リットル/分に増やした。
飛行高度が上がると、正常人でも酸素分圧が下がる。
それを予想して、たっぷりの酸素を患者のマスクに送った。
気管ソウカンは、マスク人工呼吸がうまく行かなかった場合にはじめよう。

11時23分離陸。
呼吸不全の鑑別には、心臓喘息がある。
つまり心不全。
ヘリコプター内では、心電図12誘導検査を開始した。
高度は900mだったが、経皮酸素飽和度は92%まで上がった。
そのまま、EC135は南下した。
「青森ドクターヘリ1より八戸市民病院どうぞ、患者情報です。○○○。
ERでNPPVを用意してください」最上医師

11時30分八戸市立市民病院着陸。
ヘリポートへは、八戸消防から救急救命士の生涯教育で実習に来ていた村井隊長、
救急救命士東京研修所から実習に来ていた岩間、森救急救命士候補生、
今日のER当番の野田頭医師、吉村医師がそろって迎えに来てくれた。

八戸ERに患者が入るや否や(as soon as)、
高校入試英語でas soon asは必ず出る。
中学生のみんな分かるかな?
高校生のご意見番はおわかりだね。
八戸ERに患者が入るや否や患者に人工呼吸マスクが付けられた。
NPPVの開始だ。
(NPPVは気管ソウカンなしで、マスクで人工呼吸を行う、優れた方法)

見る見る間に、患者の顔色はよくなる。
(続く)



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