体温19℃から生還 その4

2011年05月15日 18:11

PCPSで復温は成功した。開眼する。

午後、PCPSのチューブを抜く手術を行った。
執刀は、チューブを入れた軽米医師。
私が前立ちで助手。
ソケイ部を5cm切開して、血管を細い紐で吊り上げる。
チューブを抜いた瞬間に、その上下で血管をカンシで挟んで閉塞させる。
血管の穴を目で見て、5-0血管縫合糸で丁寧に縫合する。同じ手術を対側にも行う。
人工心臓PCPSの役割は終わった。
患者の血圧はOK,意識も出てきた。
「後は人工呼吸器からの離脱だ」私
「急速大量輸液が昨日だけで5リットルです。」軽米医師
「それじゃ、肺水腫だ。Lung edema.
血管透過性亢進が収まるまではこのままだね。
しばらく人工呼吸だね」私

「血管透過性亢進知っている?」私は救急救命士候補生に質問する。
彼らの知識を試すの私の役割ではない。
緊張感と同時に知識の記憶を手助けするだけ。
「それはね」直ぐに解説する。
「病気や怪我の過程で起こる毛細血管の異常状態のことだよ。
普段血管壁を通過しないような大きな蛋白分子が、
病気や怪我のために血管壁の隙間が大きくなり、
血管外へ漏れ出してしまうことをいう。
炎症により組織が充血した時や、
肝硬変などで門脈内圧が上昇した時、
手術などの侵襲により
血管透過性を亢進させるホルモンが分泌された時などに見られる。
症状は浮腫、胸水、腹水、乏尿など。
治療法は病気、怪我を治すこと。」

「ところで低体温の原因は何?
感染症やショックならこんなにうまく救命できないね。」今度は軽米医師に質問。
「甲状腺刺激ホルモンが異常に高いです」軽米医師
「甲状腺機能低下?粘液水腫、myxoedema」私
「治療はまず、副腎皮質ホルモンを補充してそれから、甲状腺ホルモンを入れます」
河野医師

「なぜ、甲状腺機能低下を考えて甲状腺刺激ホルモンを検査したの」私
(続く)


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