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空から陸から同時入室心肺停止 その1

2011年04月27日 18:11

八戸にも春が来ました。
桜が咲いたのです。
今日は3ヶ月前の冬の話です。
もちろん震災前の話。
(ブログでは、個人が特定されないように、
記事の掲載に気をつけています。)

11時44分八戸市内の大きな工場で従業員が突然倒れた。
直ぐに、嘱託の看護師が呼ばれた。
同時に119番通報。
「男性が倒れた。呼吸はあるが意識ない」
救急車が出動した。
続けて11時49分ドクターヘリ要請。
現場の嘱託の看護師は落ち着いていた。
CPRを同僚に指示し、
工場のAEDの白い電極パッドを男性の右上の胸壁と左の脇に貼った。
するとメッセージが流れた。
「離れてください、ショックが必要です。オレンジ色のショックボタンを押してください」
看護師は、緊張した。
みんなを離れさせてショックボタンを押した。
わずかに男性は動いたが、それは意識が戻って動いたのではないことを看護師は知っていた。
電気ショックにより、全身の筋肉が一度収縮した反応だった。
直ぐにCPRを開始した。

日本の救急車は119番通報から現場到着まで平均5から6分かかる。
八戸市の救急車もほぼ同じ。
だが、この日の現場は遠かった。
救急車が工場に到着したのは11時54分で10分かかった。
現場の看護師はその間3回の電気ショックを行った。
しかし、心臓は拍動することがなかった。
救急隊はCPRを受け継ぐ。

冬のドクターヘリは格納庫で待機している。
エンジンオイルをマイナス温度にしないように、室内をできるだけ暖めている。
出動要請が入ると整備士と機長は青いトレーラーでEC135をヘリポートに引っ張り出す。
スキッドには車輪が取り付けられているから、移動はスムース。
中央のオレンジ色の十字の上に停止したEC135のスキッドから車輪がはずされる。
その瞬間機体は約10cmくらい下がり、スキッドはコンクリートに接地する。
機長はそれから機体の右ドアを開けて、操縦席に腰を座る。
少し前にCSからエンジンスタートの許可が出ていた。
アメリカ製の二機のエンジンは低い音で回転を始める。
冬のエンジンスタートは夏とは違う。
ゆっくり回転数を上げる。
メインローターはそれに合わせて回転しだす。
河野医師、軽米医師、加藤看護師が走りこんできた。
そして白いヘルメットをかぶり、シートベルトを締める。
機長は八戸飛行場と無線通信を始めた。
離陸許可をもらうためだ。
時に、この許可が一分くらい遅れることがある。
今回も少し待たされた。

11時55分離陸。
冬の八戸の空は真っ青だ。
太平洋気候の最北端の八戸の気温は北海道並みに低いが、空の色は伊豆や房総と同じ。
日本海側では、豪雪警報が出ている。
積雪は1mを超えているのに。

八戸の真っ青な空に白い機体が吸い込まれるように上昇する。
12時ちょうど、目的の工場の上空に達した。
目印になる白い救急車が工場の広い駐車場に止まっていた。
後ろのハッチが開けられていた。
支援の赤車の到着はまだ。
EC135は上空を1周しながら、救急車に無線を流す。
しかし反応はない。
全員現場に行っているのだろうか。

少し思案したあとで
EC135は単独着陸を決行した。
(続く)


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