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東北関東大震災その2 緊急DMAT出動

2011年03月13日 23:40

3月11日午後、ERにいた私たちは、大きな建物の揺れを感じた。
震度4くらいは慣れっこだが、大きい、しかも揺れは治まらない。
それどころか、揺れは強くなる。長い。
治まらない。
さらに強くなる。
まだ続く。
ERでは、低酸素症の患者をちょうど見ていた時だった。
気管切開チューブをちょうど入れ終わり、人工呼吸器につけた時。
「人口呼吸器から外して」私は明石医師に叫んだ。
大地震で最初にやることは、自信の安全確保。次に場所の安全を確認、そして、患者の事。
患者に最初に行うことは、人工呼吸器から外す。次に点滴ラインをクランプして、輸液を体の上に置く。
人工呼吸器が、揺れで移動すると、気管チューブは抜けてしまうから。点滴が揺れで抜けると、止血できないから。
揺れは治まらなかった。
ナースは青ざめる。
初めての大地震を経験した若い医師は、ひきつった顔。
冷静な千葉医師が近寄る。
「出動準備しますか」千葉医師
「どこへ」私
「おそらく宮城県」千葉医師
「河野、原医師は宮城県を想定して出動準備して。千葉医師はDMATの情報をもらって、わたしは、院長から出動許可をもらうから」
宮城かどうか分からないけれど、
まず動く。
・・・・
「やはり、宮城県です。津波が来ます.こっちにも」千葉医師
日本最大、マグニチュード8.8
救急医療と、災害医療はこの災害を予測して備えていた。
日本国内では、これまでも、災害を多数経験し、緊急医療援助チームDMATが現地で活躍してきた。勿論われわれも。
そして、今度は、最大規模。
この規模は1000年前にもあったらしい。
地震発生、それから津波が続く。
・・・・
八戸市内では大きなゆれを感じた。
震度5強。
宮城は震度7.テレビで伝える。

「それじゃ、どちらが甚大か判断しよう」
宮城の医療支援か、八戸か、あるいは岩手県。
三陸沖で3つの県はつながっている。
「移動手段は、ヘリですか、車ですか」河野
「ドクターヘリで災害出動は、このフェーズでは県庁から許可が下りないだろう。降りるとすれば、岩手県からの要請を受けてからだ。おそらく24時間後。まずドクターカー2号で南へ進んで」
「出動スタッフは」河野
「薬剤師DMATの金沢、看護師は今日のフライトナース加藤、医師は3名河野、光銭、原で」
・・・・
ジュラルミンケース3個、輸液バッグのダンボール箱4個、ACLSウェストポーチ2個、ヘルメット5個を積んだ。ラピッドドクターカー2号、エスクードが発進した。
15時13分DMAT待機要請。
DMAT出動の正式要請はまだ出ていない。
・・・・・
少ししてから、青森県庁から電話が来た。
「DMAT待機要請が出ています。対応できますか」県庁
「はい、すでに,待機中です。ただし、車内待機です。正式要請が出るまで、通常走行で南下しています」私
「えっつ」
「正式出動要請が出てから、赤色灯をつけて緊急走行を開始します。」
「目的地は?」
「とりあえず、南。例えば仙台です。情報を入れながら、参集場所を決めます」私
・・・・
千葉医師は、パソコンの前で、災害、DMAT情報を探す。
仙台で津波甚大被害。
16時4分参集病院は仙台医療センターに決まった。
DMAT正式要請である。
オオフナドで、津波甚大被害。
17時48分参集病院は岩手医大が追加された。
ドクターカーは高速道路をゆっくり進んでいた。
千葉医師は、岩手医大から岩手県庁に出向いている統括DMATの秋富医師に連絡を取り合った。
「仙台と盛岡どちらが医療需要が高いか」
「盛岡に、向かっているDMATは今はゼロ、是非盛岡にきてほしい」秋富医師
千葉医師は、ドクターカーへ電話を入れた。
「参集病院変更、盛岡です」
・・・・

3月11日18時盛岡市到着。
そこから八戸DMATは、津波被害の大きい大船戸へ向かう予定だった。
陸路は安全が保てない。しかも、山越え。道路は封鎖。
盛岡から空路にて自衛隊ヘリで向かうはずだった。
その距離直線で70km。
夜間の飛行は自衛隊ヘリだった。
しかし予定飛行時刻に天候が悪化してきた。
雪と雲。
太平洋では津波被害が甚大。
しかし、盛岡から近づけない。
夜間の自衛隊ヘリ出動に備えることになった。
ヘリポートは岩手県消防学校。
その直近に病院、赤十字病院で待機となった。参集できたDMAT隊は八戸の1隊だけ。
八戸DMATは深夜の出動を待った。
八戸DMATが到着した5時間後、二つ目のDMATが盛岡市に到着した。
しかし、まだ、天候は回復しない。
陸路の道路の安全は確保できていない。
日付が変わった後、ヘリコプター出動は朝5時30分の連絡がきた。
それまで、睡眠。

3月13日朝5時30分、八戸DMAT5名は、岩手県消防学校ヘリポートいた。寒かった。しかし、ヘリコプターは来ない。
7時30分ようやく、自衛隊ヘリが降りてきた。
大船戸では、患者搬出準備が万全だった。
一晩待ったヘリコプターだった。
自衛隊機に、河野、原医師が乗り、まずは1回目のヘリ搬送。
盛岡で患者を下し、ヘリは給油して再び、盛岡に来るはずだった。
しかし、待てどもヘリは来ない。

大船戸では、ヘリ搬送をあきらめた。
まもなく、道路通行可が確認された。
緊急自動車は通れる。
救急車で、搬送することになった。
一時期、DMAT隊員が二つに分断され、もう会えないのかと大げさだが感じられた。
分断された二つのグループに役立ったのは
大船戸の衛星電話と、八戸DMATの持つ災害時優先携帯電話だ。
この二つの電話で、NTT回線がずたずたでも連絡を取り合えた。

救急車に患者を乗せて、残りの部隊が盛岡に戻ってきた。
それから、患者のヘリ搬送はできなかった。
自衛隊ヘリが来なかった。
おそらく、別の地域に呼ばれたのだろう。

自衛隊機に頼らない医療主体のヘリコプター搬送が必要である。
それが、ドクターヘリの災害活用だ。
ほぼ同じ時刻にドクターヘリが岩手県と福島県、宮城県に集まりだした。
八戸DMATが奮闘しているころ、青森県ドクターヘリは、八戸の災害対応で手いっぱいだった。
ここも被災地。

(続く)


コメント

  1. シロー | URL | -

    頑張ってください!!

    はじめまして。
    6年ほど前、八戸市民病院救急センターにバイク事故でお世話になりました。
    当時対応していただいた今先生、ありがとうございました。
    このような状況で大変だとは思います。
    皆様も被災者だとは思いますが、頑張ってください。
    遠く静岡から応援しています。

  2. 渡辺 | URL | -

    対応頑張ってください

    震災対応頑張ってください

    自分も八戸の工業地帯の会社で被災し、津波の被害も有り大変でした。
    昨日の朝に一緒に避難していた人が心臓の調子が悪くなり救急車で搬送されて行きました。
    救急車も一晩中出動したのか白いボディーが真っ黒になってました。
    災害時の対応、大変でしょうが、お体に気をつけて頑張ってください!

  3. yuki | URL | -

    心配しています

    地震が起き、青森八戸とテレビで出た瞬間、以前からここのブログを読んでいた私は心配で仕方ありませんでした。先生方がこれから大変なことになるだろうと思ったからです。以前救命病棟24時というドラマで地震を取り寄せていたから病院がどんなことになるかなんとなく予測できたからです。
    私は三重県で看護学生をしていますが、何もできないことに情けなさと落胆を感じています。募金くらいしかできませんが、どうかどうか、無事で頑張ってください
    応援しています。そしていつか私も医療者になったら役に立てるような人間になります

  4. 向井といいます | URL | mCfeEJ/c

    応援してます

    兵庫県で看護師してます。災害看護できればかけつけたいのに、何もできないただのナースです。。非力ながらこちらでできること、後方支援します。今先生、皆様応援してます!

  5. ハヤシ | URL | 3lOVBWqg

    おつかれさまです。
    頑張りましょう!
    お体気をつけてください。

  6. DAMTの皆様へ

    私も、地震があったときは、東京の浅草寺にいました。そこの、五重塔の上にあるかねみたいなのが、すごい勢いでまわっていました。また建設中のスカイツリーのクレーンもすごい揺れていたのが見えました。これは自分が体験したことであり、どの局でもやってませんが、どこもその瞬間すごくゆれたんだと思います。私は昨日、羽田経由で三沢に帰ることができました。家につき、ずっとテレビをつけてますが、ときどき他県のDMATの映像が流れています。大変だとは思いますが、被災者の命を救えるのはDMATをはじめとする方だけです。どうかご自身の体も大切にし、救助してください。応援してます。

  7. 青木哲哉 | URL | -

    大丈夫でしょうか?

    今先生、平成6年夏に自治医大ハンドボール監督の阿部先生と先生宅にお世話になり、ねぶた祭りに参加させて頂いた鳥取県18期の青木と申します。
    自治医大のメールマガジンで医療支援のお話がありました。それにもご協力しますと回答しておりますが、私でもお手伝いできればと思い、メールいたしました。

  8. Hiro | URL | -

    スタッフの皆様

    始めまして。Hiroと申します。

    私の友人がそちらで医師として働いているはずです。
    無事かとは思いますが連絡がつかず、心配しています。
    現状無事だとしても救急救命の最前線にいる彼に連絡が取れないのは仕方の無いことなのですが…
    彼とスタッフの皆さんがご無事でいらっしゃることを祈っております。
    また、気の抜けない状況が続くと思います。どうか皆様ご自愛ください。

  9. ふじ | URL | -

    応援しています。

    神戸のセミナーで教えていただいたものです。
    今回の地震で今先生も 大変だと思いますが、体に気をつけてがんばってください。
    大阪の空の下、応援しています。

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