史上最大のサンダーバード作戦 その8

2011年02月27日 23:59

(時間を少し戻して・・・)

サンダーバード作戦が展開され、ドクターヘリとドクターカーが三沢に出た八戸 ER。
そこへ、八戸消防本部からホットラインが入った。
「南部町へドクターカー出動できるか」

一瞬の間に、河野医師は脳裏で様々な可能性が浮かんだ。
「ちょっと待ってください、すぐに返答します。」

確かに、ドクターカーはもう1台ある。しかしドライバーは出払っている。
ドクターヘリは出動中だが、天候に不安があるようだ。南部町へ振替えるか?
現場で医師を必要とする患者がいる以上、何とかせねば。

「八戸市民病院から青森ドクターヘリ1。
 北の天候が思わしくないなら、ドクターヘリは帰投して南部町への出動を考えて下さい」
まずはドクターヘリに無線で確認を求めた。

「青森ドクターヘリ1から八戸市民病院。
 三沢の外傷患者はショック状態なので、三沢にドクターヘリを優先させます。
 ヘリとドクターカー2は三沢へ北上続行します。南部町事案は、判断お任せします」

ならば、答えは一つ。
「それでは、八戸ドクターカー1号を出します」

南部町への八戸ドクターカー1号出動を決めた河野医師は、
消防本部にドクターカー出動可能と回答してから、軽米医師に電話を入れた。

「これからドクターカー出動するんだけど、対応できる?」
「大丈夫ですよ、今ERへ行きます」
「サンダーバード作戦で、ヘリもドクターカーも出動中なんだ。
 だから、ドクターカー1号を運転して南部町に出てほしい」
軽米医師は八戸市出身、土地勘がある。それに、ドクターカー出動の経験も豊富だ。
それらを見込んでの判断だった。
「分かりました、すぐにERへ向かいます。」

軽米医師が ER に降りると、野田頭医師と丸橋医師が準備準備をしていた。
3人が出動準備が整えたころ、消防から追加連絡が入った。
「患者は窒息した高齢男性、現在心肺停止状態。
 ドクターカーは南部町・福地方面へ向けて出てもらいたい。
 ドッキングポイントは清掃センター前を考えている」

3人はすぐに車庫へ向い、病院を出発した。
ドライバーは軽米医師。
やはり八戸出身の野田頭医師と、経路について確認しながら緊急走行を行う。
「無線や準備は丸橋先生とやるから、軽米先生は運転に集中して。安全第一で」
「わかりました」

是川遺跡の前を通って、農道方面へ向かう。
この方面は細い道路が多く、一本でも道を間違うと取り返しがつかない。
経路選択は容易でないが、二人の地元出身者で土地勘もバッチリ。

すべての交差点で減速し、左右を確認してから発進する。
幸い、交通量は多くないので渋滞の車列を縫って走る必要はなかった。
福地救急隊とも無線でこまめに連絡を取り合い、難なく農道上でドッキングした。

丸橋医師と野田頭医師がドクターカーから救急車へ移動し、処置を始める。
接触時、患者は依然心肺停止状態。
野田頭医師が気管挿管、丸橋医師が静脈ライン確保して薬剤投与を開始する。
もちろん、救急隊は懸命に胸骨圧迫を続ける。
処置を終えた野田頭医師が頸動脈拍動を確認する。「脈が触れるぞ!心拍再開!」

救急隊が、ドクターカー運転席で待機していた軽米医師に蘇生成功を伝えた。
救急車を先に出発させ、軽米医師は通常走行でドクターカーを発進させた。
ここから病院まで、通常走行なら10分くらいだろうか。

緊急走行のプレッシャーもなく、患者も心拍再開した。
安堵しながらも、軽米医師の慎重な運転でドクターカーは病院に到着した。
そして ER に再び足を踏み入れると、そこは・・・

(続く)


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