早朝のサンダーバード作戦、そして…  その4

2011年02月09日 18:59

(サンダーバード作戦を展開した患者を ER に届けたとたん、次の要請が)

8時46分離陸。早い!

「新郷村で気道閉塞の女性、救急隊は現場到着前」
CSからの情報だった。
八戸消防指令課の矢田部さんは、119番通報で新郷救急隊を現場に向かわせ、
次いでドクターヘリを飛ばし、さらに五戸署からポンプ車を出動させた。

ランデブーポイントは、廃校になった小学校のグラウンド。
患者宅にも近いが、除雪はしていないはず。
赤車が向かってダメと分かれば、4km西の新郷温泉館駐車場だ。
ここは暮れに一度降りたことがある。除雪済みのはず。
しかし、大晦日の大雪で閉鎖になった道路が、きのうやっと開通したばかり。
本当に着陸できるのか?

そこで、新郷署の赤い軽トラックも駐車場に向かうことになった
目的は、駐車場の除雪状況を確認し、ドクターヘリに風向きを知らせること。
青森県の山深い小さな村で、消防が患者の救命に全力を尽くしている。
これぞ成熟した救急医療の姿。

「青森ドクターヘリ1から八消本部、救急隊は現場到着しましたか」
「まだです。現在向かっている」八消

私は加藤看護師と町田医師に伝えた。
現場近くに下りたら、われわれが先着隊になる。資器材を確認しよう。
「患者は窒息女性。CPAを想定する。
 救急バッグに加えて、吸引機とモニター付き除細動器を持って行く。
 救急隊の現場到着情報に注意しよう」二人はうなずいた。
「機長、除細動器のベルトを外します」
「はい、了解」

八戸消防指令課は小学校近くの住民に、電話で積雪情報を尋ねたようだ。
その内容が無線で伝わってくる。
「八消本部から青森ドクターヘリ1。○○小学校グラウンドの積雪は、
 住民の話で積雪は1m ほど。おそらくドクターヘリは着陸できない」
「青森ドクターヘリ了解。現場上空まであと3分」整備士
「ドクターヘリは、目視確認のうえ傷病者周囲に着陸できるか確認されたい」八消

8時56分、八消救急11が患者宅に到着した。
「八消55から青森ドクターヘリ1。八消55はランデブーポイント旧○○小学校に到着。
 電線あり狭く、重機作業中。木材もある。よってドクターヘリは着陸できない。」

ちょうど真下に、赤車が見える。

DSC08010.png

八消55が止まっているところが小学校とすれば、確かに着陸できない。
雪に埋もれているせいか、学校とは思えない。空から見ると電線も気になる。

「周囲を探します。患者宅はどこですか?誘導おねがいします。
 青森ドクターヘリは、八消55の真上」整備士が問いかけた。
「ドクターヘリの◯時方向、◎軒目。道路沿い」と八消55。

それを聞くなり、EC135 は左旋回に入った。
そして小学校から◎軒目に救急車を発見した。
白い雪に白い救急車は、わかりずらい。

「八消救急11より青森ドクターヘリ1。
患者は呼吸あり、意識3桁。撓骨触れる。チアノーゼあり」今日も古川隊長だ。
「青森ドクターヘリ1了解。着陸地点を探してます」

「あそこ、9時方向の田んぼはどうでしょうか」
「雪が深そう。降りられないことはないけど、その後どうやって現場に行きますか」
「深いと困りますね、50cm くらいなら歩けますが」
言いながら私は、安全靴の紐を最上段まで締め上げた。

眼下の救急車に、動きが見えた。
「患者車内収容でしょうか?」と私が言うと
「聞いてみましょう」整備士がさっそく無線を飛ばす。

「青森ドクターヘリ1より八消救急11、患者車内収容ですか?」
「その通り、車内収容済み。これよりバイタルサインをとる」古川隊長の声だった。

患者は安定しているようだ。数分なら大丈夫だろう。
「4km 先の温泉駐車場はどうでしょう」と私は提案した。
「そうですね」機長も応じる。

「青森ドクターヘリ1より八消救急11。ドクターヘリは新郷温泉館へ向かう。
そこで八消救急11とのランデブーでよろしいか」
「八消救急11了解。こちらも温泉館に向かう。
 現在、酸素10リットル投与中で JCS2桁に改善」
「青森ドクターヘリ了解」

「青森ドクターヘリ1より八消本部、ドクターヘリは新郷温泉館に向かいます。
 着陸支援よろしくお願いします。」
「八消本部了解」
「八消55傍受、新郷温泉館に向かう。」

(続く)


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