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トラクターに轢かれて股関節脱臼 その7

2019年04月17日 18:43

白い滅菌紙シーツをかぶせる。
白い紙なので胸壁に塗った茶色のイソジンが透けて見えた。
どこまで消毒済みがよくわかる。
左乳頭が透けて見えた。
乳頭の高さが胸腔ドレーンを安全に入れる高さだ。
これより尾側では、横隔膜、肝臓、脾臓を傷つける。
白い紙シーツの乳頭部分を指で切り抜いた。
そして、目的肋間に左指を置く。
右手で持った10ml入りの局所麻酔注射器をその尾側肋骨に真上の皮膚に一気に入れる麻酔薬で皮膚は盛り上がる。
続いいて、肋骨の上縁を針で滑らせ、
手の感触で肋間筋と胸膜の高さに注射針を止める。
そこで残りの麻酔薬を全部入れる。
胸膜に入れた麻酔薬は皮膚からは変化は見えない。
肋骨の直上で麻酔薬で盛り上がっているところに、
田中医師は11番メスを入れた。
2cmの長さ。
深さは肋骨に達するくらい。
曲がりペアン鉗子に持ち換えて、
先ほど麻酔した胸膜方向に鉗子の先を閉じて突き刺す。
肋間筋、胸膜の抵抗を鉗子の先に感じる。
そして、急に抵抗がなくなればそこは胸腔だ。
麻酔が効いているので痛がらない。
今度はゆっくりと鉗子の先を開く。
肋間筋、胸膜の穴がゆっくりと広がる。
同時に、鉗子の先の間から空気と血液は吹き出す。
吹き出す空気は呼吸のリズムで噴き出す。
陽圧で苦しんだ左胸腔だが、
できればさらに陰圧にしたい。
そのためには、胸腔バッグやハイムリッヒバルブが必要だ。
胸腔ドレーンの皮膚固定はERでは縫合する。
現場では3M粘着ドレープを使う。
皮膚、チューブを一括して固定する。
手術用滅菌手袋を一枚用意した。
それの手首の部分とチューブをくっつける。
絆創膏でまけばいいだけ。
手袋の中指の部分の指先を1cmハサミで切り落とす。
これで一方向弁、ハイムリッヒバルブが完成する。
吸気で出てくる空気が手袋を膨らませる。
膨らんだ手袋の空気は中指先の切開部より外に出る。

ハイムリッヒバルブは英語名フラッターバルブ、ハイムリックバルブ。
米国の胸部外科医ハイムリックが考案したもの。
第二次世界大戦で、気胸の管理が戦地でできなくて死亡する兵士が多かった。
戦地でも使えるコンパクトな気胸治療の道具を考案しベトナム戦争で大いに役立った。
気道異物による窒息に対する胸部突き上げ法のハイムリック法も同じ医師の考案だ。
(続く)



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