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トラクターに轢かれて股関節脱臼 その6

2019年04月16日 18:41

胸部の触診(指で首や、肋骨を触る視察)で、
左胸部に皮下気腫を触れた。
皮下気腫とは、肺から漏れた空気が本来真空に近い胸腔にたまり、
胸腔からさらにその外側の肋間筋肉(焼肉のカルビ)を超え皮下脂肪に空気がたまること。
このことは、肺に穴が開いている気胸を意味する。
漏れる空気が多いことを意味する。
ときに、緊張性気胸と言う血圧低下を伴う気胸に発展することがある。

打診(胸壁を指先で優しく叩き、太鼓の音の響きで胸腔の中を推測する。
叩いても響きは左右差なかった。

呼吸数と、経皮酸素飽和度を見る。
呼吸数は32回。
経皮酸素飽和度は酸素投与で92%だ。

そしてエコー検査だ。
私が、丁寧に胸部を見ている間に、田中医師が超音波を扱った。
最初に心臓破裂からの心嚢出血を見る。
つぎは腹腔内出血を。
両方なかった。
そして、超音波装置を3.5MHz内蔵用から7.5MHz皮下組織用に変えて、
肺を見る。
肺と胸壁の間を見るのだ。
右は異状ない。
左はスライディングサイン消失し、気胸が見えた。

「橋本さん、やはり左気胸だ。予定通り胸腔ドレーンを入れるよ。
隊長、気胸の観察よくやった。
これから左ドレーンを入れるので、
救急車ストレッチャーの位置を中央近くまで動かしてちょうだい。
それから、左腕を頭側に引っ張ってください」
2B型救急車は横幅が狭い。
患者の左側は壁に接する。
わずか15cmくらいだが、ストレッチャーを右方向に横スライドさせることができる。
隊長が座る頭側にそのレバーがある。
胸腔ドレーンは清潔操作が必要だ。
簡単な手術ではあるが、
できるだけ清潔な環境を作って行う。
左腕を頭側に軽く引っ張るのは、
肋間を開いてチューブを入れやすくすること。
皮下トンネルを長く取れることだ。
茶色のイソジンとスワブで胸壁をこする。
スワブとは綿棒のこと。
指先の大きさ滅菌綿棒を使う。
(続く)



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