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トラクターに轢かれて股関節脱臼 その5

2019年04月15日 18:39

ドクターヘリが着陸した4分後、
救急車が到着した。
整備長が救急車を誘導する。
田中医師は左側面ドアから車内に入った。
私とナースは後ろハッチドアから入る。
第一印象を見る。
声をかけると、開眼し、返事をした。
意識と気道はよい。
胸壁の動きを見る。
左が上がらない。胸壁の異常な呼吸運動を奇異呼吸という。
右はよく上がるが左がおかしい。
呼吸数は早い。
早いとは、2秒に一回くらい。
つまり1分間に30回以上のこと。
循環は橈骨動脈が触知できた。
冷汗はない。
第一印象は頻呼吸と奇異呼吸でB呼吸が異常だ。
重症だ。
患者の訴えは腰の痛みだ。
外傷診療で失敗する理由は
「訴えに気を取られる」
腰が痛いことは骨盤骨折を意味するが、
重症な胸部外傷を目隠ししてしまう。
訴えとは別に、
身体所見とバイタルサインで本当に重症な外傷を見抜かないといけない。
切られているシャツから丸見えの胸壁をもう一度観察する。
同時に、秋元隊長の意見を聞く。
「左呼吸音減弱です」隊長

胸部の視診(目で見て診察)で、左胸郭の上がりが悪い。
右は早く呼吸数28回。
陥没呼吸はない。

胸部の聴診(聴診器を使う診察)で、肺から聞こえる呼吸の音が左で弱い。
呼吸の左右差を聞き取るには、前胸部ではなく、
腋窩で聴診器で聞く。
わずかな左右差も見抜ける。
(続く)


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