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トラクターに轢かれて股関節脱臼 その2

2019年04月10日 18:54

ホスピタルモールから左折し、
ERへ向かう。
ER内に、ドクターヘリ通信指令室がある。
田中医師、橋本ナースは私より先に、
ドクターヘリ通信指令室に来ていたようで、
ドクターヘリ出動情報ホワイトボードには
黒い文字が書かれていた。
「十和田市、トラクターに轢かれた男性。
救急隊現場到着前」

それを見て、
ERのドアから廊下へ出る。
先ほど運ばれてきた患者の家族が5人、廊下の長いすに座っていた。
相変わらず、着信音はなり続けている。
廊下を左折しエレベーターホールを通過する。
後は、精神科病棟を左に見て一直線に
へリポートドアに向かう。
鉄のヘリポートドアを外へ開けると、
EC135のエンジン音と、
4枚羽が中央で回転する四角形のヘリポートが見える。
左後ろドアには整備長が右腕を水平に出し、
こちらへ向かえと指示している、
エンジンスタートしてから間もないときは、
右後ろドアから3名が乗りこむ。
いまは、4枚羽の回転数は上がっていた。
左ドアだけが空いている。
このことは、ナースとセカンドドクターシート(OJTシート)には、
着席していて、空席はドクターシートだけという事だ。
ドクターシートには私が座る予定だ。
四角形のヘリポーとに近づく。
右前に操縦席に座るヘルメット姿の機長は、
手のひらを前後に降って、
こっちへ来いと呼んでいた。
整備長は、外で
右腕で、乗り込むドアを指示している。
ヘリポートの四角形に入った私は、
それまでの走りを止める。
ここからはスピードではなく、
安全が優先される。
あえてゆっくり歩き、
頭を低くして、
回転する4枚羽の半径の下を通過する。
4枚羽の半径内に入った瞬間、
上から吹き降ろす風がなくなる。
左後ろのスキッドに右足をかけ、
右手をドアの端にかけ、
左足をヘリコプターの床に進める。
一気に腰をドクターシートに載せる。
以前、野田頭所長が乗っていたトヨタランドクルーザーより、
乗りやすい。
ドクターシートに乗ると、
ナース席、セカンドドクターシート席が埋まっていることが分かった。
やはり、自分がシンガリだった。
シンガリとは、部隊の最後尾のこと。
シンガリを漢字で書くと、
「殿」とも書く。
豊臣秀吉や明智光秀、織田信長の戦国時代に、
後退する味方のシンガリを務めることは、
命に関わる重大な任務だった。
ドクターヘリでもそうだ。
出動のシンガリが重要ではない。
現場離陸時のシンガリには意味がある。
北に向かうドクターヘリは気持ちよかった。
春の青空と、緑の畑、
青い太平洋、
気温はまだ低いが気持ちいい。
西に見える八甲田山の残雪の白色の面積も日ごとに小さくなる。
出動先は、八甲田山の東のふもとの十和田市だ。
(続く)

2019年4月12日
弘前大学医学部新入生歓迎の講演をします。
講演タイトル「劇的救命」
場所:弘前大学附属病院
主催:弘前医ゼミに参加する会
18時から20時。
無料です。


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