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サンダーバード作戦発動その2

2018年01月07日 18:10

事故現場の中央には赤い消防車と白い救急車が停車していた。
路肩工事の反対側の歩道に、電柱が規則正しい間隔で立っている。
その1本に普通自動車が衝突していた。
衝突は激しく、運転席の屋根はなくなり、後方の屋根の半分は変形していた。
運転席側のドアもなくなっているようだ。
路面には、高さがある雪の轍を横切って、タイヤが滑った跡が事故車に向かっていた。

 ドクターヘリは現場上空を左周りで旋回し、着陸できそうな空き地を探す。
路肩工事現場の空き地に着陸できそうだった。
当初想定したフェリー埠頭岸壁に着陸すれば、そこから消防車で陸路移動になる。
そうなれば、ドクターカーの方が先に患者と接触することになるだろう。
消防とドクターカーとの無線交信はドクターヘリで傍受していて、
ドクターカーが海岸道路を順調に北上していることは把握していた。

「ドクターヘリは、事故現場東の路肩工事現場に着陸します。
誘導お願いします」。整備長は上空から、地上の事故現場にいる消防隊に無線を入れた。
空からは一目瞭然だが、交通事故現場にいる消防隊には、
路肩工事の場所がすぐには分からなかったようだ。
地上では右に左に、黒い消防服の男たちが迷った様子で動き回っている。
ドクターヘリが東に移動しているのを見上げた消防隊員が、
その方角を見て判断できたようだ。
赤い消防車と黒い消防士が東に移動し始めた。
消防士が路肩工事作業員に話しかけると、
数人の工事作業員が工事現場から30mくらい離れるのを上空から確認できた。
海岸道路の事故現場と反対側の車線の交通も消防隊が腕を水平に上げて止めている。

 着陸の準備が整い、ドクターヘリはゆっくりと高度を下げる。
高回転で回るツインエンジンの音がわずかに低くなり、
天井で回るプロペラの回転数が落ちているのがわかる。
ヘリコプターのサイドガラス越しに見上げる高回転のプロペラの色が、
透明からわずかに灰色に変わってきた。
(続く)


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