工場で墜落事故 そ の7

2017年02月15日 18:55

総輸血量は、ERと手術室で20単位を超えた。
凝固障害も出ている。
ますます、止血ができない。

私は、ガウンを着て手術野に入った。
止血術を開始する。
お手上げ状態の大腿出血を収束させるために。

筋肉内から、出血が沸いてくる。
筋肉内出血に対して、穴掘り型の止血操作は成功しない。
比較的大きく切開して
確実に止血するべきだ。
骨折骨髄からの出血は、
凝固機能が戻るのを待つしかない。
それには、凍結血漿輸血だ。
筋肉を開く、そして出血部の見当をつけた。
止血タオル2枚を出血部位近くに押し込んだ。
圧迫してみる。
すると出血が減った。
出血部はタオル近くにある。
圧迫してとまるなら、
さらに圧迫を続ければいい。
凍結血漿輸血で凝固機能が戻るまで、
圧迫を続ければいい。

そして、切開したばかりの皮膚に、太い絹糸をかけて、
創を縮小し、止血タオルを上か押さえる。
内腔吸引用に18Fサンプチューブ入れる。
プラスチックバッグを創の表面にあてがい、
周囲を太い糸で十数か所縫合固定する。
プラスチックバッグの上をフィルムドレープでカバーした。
150回を超えていた脈拍は90台に戻った。
止血術はうまくいっている。
タオルによる圧迫と
創内吸引による、創内陰圧により、
筋肉が密着し、タオル圧迫効果が強くなり出血の勢いが止まった。

私は、血管造影室の準備をお願いした。
それに、呼応して
藤田医師が放射技師に電話した。
続けて、昆医師に電話した。

男性の大腿の出血の勢いは治まったが、
完全ではない。
血管造影で塞栓術が確実だ。

誰かのPHSが鳴った。
私は、手術に集中していたので、
その内容は知らない。
少しして藤田医師が手術室にいないのに気付いた。

男性の止血手術を終えれば
血管造影室へ移動開始の準備を始める。
しかし、
骨折手術用の牽引手術台に男性は固定されていた。
頭側には、おびただし静脈ラインや加温装置がある。
これらを整理して、血管造影室に到着させるには、
短く見ても30分は要する。
(続く)
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劇的救命ポスター名古屋

名古屋で開催されている
日本集団災害医学会学術集会で
劇的救命ポスターが張られました。
2017年11月10,11日に八戸で開催される
日本航空医療学会の宣伝です。


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