工場で墜落事故 その5

2017年02月13日 18:53

橈骨動脈の脈拍が触れない。
胸部の大動脈でバルーン(風船)を膨らまし、
大動脈の血流を下腹部から下に行かないようにした。

橈骨脈拍が触れるようになった。
木村医師が入れた動脈圧で血圧が測定できた。
血圧100.
輸血は続けられた。
大量輸血を予想したので、
凍結血漿の輸血も開始した。

ドクターカー医師の藤田医師は、
頭側に立っている。
意識が落ちてきている。
患者は目を閉じている。
「気管挿管します。
筋弛緩薬使います」

今野部長は頸椎を固定しているカラーを外し、
両手で頸部を固定する。
気管挿管で頸椎が進展すると、
仮に頚髄損傷があるとした場合に、
症状が悪化するから。
藤田医師が、
ビデオ喉頭鏡(エアウェイスコープ)を口に入れた。
そして気管挿管した。
上手い。
一発で成功だ。

血圧の安定、
呼吸の安定を待って、
患者はCT室へ移動した。

私は、患者の母親に病状を説明する。
まだ40歳台くらいの母親は、
私の説明を聞くと、震えだした。
私は彼女の肩を支える。
(続く)



コメント

  1. 救命士学生 | URL | -

    お務めご苦労様です。

    今関東の某4年生大学の現三年生、救命士過程の学生です。最近自分がさらに医療従事者の責任を持てる様に、想像ができる様に若輩者ながら拝見させていただいております。
    文章が本当に見やすく、小説かと勘違いしてしまうほどです、いつもありがとうございます。
    医療従事者として少しでも役立てる様、毎日の刺激になっています。自分が想像できないほど大変かと思いますが、お体に気をつけて下さい。失礼しました。

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