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「救急医だからできること」その6

2016年12月06日 13:25

救急医だからできること
それは
判断と決断です。

救急現場は判断と決断の連続。
ときには診断よりも決断を優先する。

重症頭部外傷、肝損傷、骨盤骨折、大腿骨開放骨折の多発外傷。
いつ、どこで、何をするのか。
診断がつくまで待っていたら救命できないこともある。
その判断力と決断力で患者を救命に導くのが救急医。

また、多職種と連携・協力して
良好なコミュニケーションのもとで
リーダーシップを取ることが求められる。
・・・・・・
ずいぶん前のことです。

女性。妊娠38週。
近医にて難産のため吸引分娩、
腹部圧迫法施行。
元気な女児3800gを出産。
分娩後ショックとなり、
血色素Hb6g/dlまで下降した。
輸血を継続しながらERへ救急搬送となった。

【ER所見】
来院時意識低下、血圧90/50mmHg 、
心拍数120回/分、
体温34.3℃、頻呼吸、
腹部膨隆を認めた。
超音波検査では大量の腹腔内貯留液を認め、
膣口からも持続出血があり
産科医師が対応した。
産科手術が始まった。
子宮破裂及び出血性ショックに子宮全摘する。
輸血量は赤血球 23単位、血漿 22単位。

術後集中治療室へ入院した。
しかし、
腹部から出血が続く。
おかしい。
止血したはずなのに、

産科医師は、
深夜2回目の開腹止血術を行った。

だが、朝、
まだ輸血が必要だ。
出血が止まっていない。
血液の凝固機能は
大幅に狂っていた。
朝3回目の開腹止血術が始まった。

輸血が続けられる。
凝固機能jは破たんしている。

3日目決死の覚悟で4回目の手術に臨んだ。
産科医師は下腹部の止血を繰り返した。
4回目開腹手術では
手術用のガーゼを腹部に詰め込んで、
手術が終わろうとしていた。

手術室は重い空気に包まれる。
手術結果が気になった私は
手術室に顔を出す。
患者は換気不全、酸素化不良、無尿状態に陥っていた。
「死ぬかもしれない」と
私は思った。

私は術者を志願した
腹部コンパートメント症候群に違いない。
まだ、やれることはある。
産科医は承諾してくれた。

わたしは、患者の右側に立ち、
メスを臍から上に走らせた。
それまでの4回の産科止血手術は
臍から下の切開だった。
それは普通のこと。
私は腹部減圧のために手術創を上腹部まで延長した。

腸管が飛びだし、
腹腔内圧は減少した。
横隔膜を強く圧迫していた
腹部圧が弱まったので、
呼吸が楽になる。
そして酸素化は改善した。
腹部圧が高いので、
下大静脈を圧迫し、
心臓へ戻る血液が減る。
そんため、血圧が落ちる。
腹部圧を減らせば、
心臓へ戻る血液が増える。
血圧も上がる。

手術を進めた。
減圧のため、
みぞおちまで切開したことで、
いいことがもう一つあった。

それまで、直接見ることがなかった、
上腹部の内臓の異常の有無を確認できた。
分娩にかかわる医療行為なので、
下腹部のみの病気のはずであった。
まさか、上腹部に何かあるとはだれも思わなかった。
出血の原因が上腹部にあるとはだれも思わなかった。
飛び出した腸をよけて、
肝臓をみる。
Ok.
つぎに、脾臓をみる。
出血あり。
脾臓が切れている。
割れている。
ここだ!
脾臓下極の挫創を偶然発見
すぐに→脾臓摘出した。

血圧の戻りは順調だった。
貧血の進行は止まった。
患者のは死の三徴
(低体温、アシドーシス、凝固障害)が出現していた。
腫れあがった腹部は
プラスチックバッグで一時閉創とした。

患者の受け持ちは、
救命科に変更になる。
集中治療が続けられる。
人工呼吸、
持続透析、
凝固因子補充の血漿輸血、
昇圧剤。

そして
次の手術の予定を立てる。

患者は、死の三徴から立ち直った。

72時間後予定通りに
手術室へ向う。
閉腹術を施行した。
輸血合計
赤血球100単位

女性は元気に退院した。
劇的救命だ。

判断と決断が大事だった。
(なぜ、脾臓が割れていたのか、
ここでは触れません。
伝えたいことは、
判断と決断の重要性です)
・・・・
判断と決断を適切にできるのが
救急医。

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・・・・・・
救急後期研修は、八戸だけでなく
全国の主要救命救急センターで行っています。




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