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「救急医だからできる10のこと」その2

2016年11月18日 18:39

救急医だからできること
ドクターヘリやドクターカーで出動し病院前診療を行える。

 「重症患者だって、
発症から、受傷からすぐに治療を開始すれば助けられることが多い。
病院内の診療とは違う、
非日常的な現場出動をできるのは、救急医」
・・・・・・・・・・・

夜明けと共に、道路のアスファルトが氷で輝き始めた。
大型車7台の玉突き交通事故が発生し、
消防は災害対応を発令し赤白合計8台を出動させた。
昨夜からの連続勤務でバテ気味の救急当直医のポケットでPHSが鳴る。
液晶には消防の二文字。
「ドクターカー出動お願いします。多数傷病者」
ドクターカーに乗った救急科専門医と救急科専攻医は、
後部席で救急バッグからトリアージタグを一掴み取り出し、
赤い災害服のポケットに押し込んだ。

現場では、先着救急隊によりトリアージが実行されていた。
赤タグが着いた男性は第2救急車に乗せられ現場を離れた。
トリアージが終わった時点で他に赤タグはいない。
現場隊長は、災害モードから救命救急モードに自分のスイッチを入れ替える。
ドクターカーは当初、現場災害救護所設営のために出動していたが、
現場は終息しつつある。
ドクターカーミッションの変更指示が無線で出た。
「ドクターカーは救急車とドッキングせよ。
1名の重症患者に対して初期治療を開始してもらいたい。
患者はショック、昏睡状態」ドクターカーの中に無線の声が響いた。

ドクターカードライバーは次の交差点でハンドルを左に切った。
カーナビには2km先を走る救急車のマークが映っていた。
3分後停車した救急車に飛び乗った私はひるんだ。
慌てた。
白いぐったりした顔、
乾いた眼球と肌、
弛緩した手足、
早いモニター波形、
男性が死に瀕していたことは一目瞭然。
「車を出してください」私は言うと同時に胸部外傷の観察をした。
専攻医は輸液ラインを入れた。
ドクターカー出動で重要な事二つ、
① 初期治療の早期開始、
② 病院での根本治療の加速。
必要性な情報を救急外来へ情報提供することにより、
手術や輸血開始が大幅に早くなる。
同じ時刻に救急外来では
加温O型輸血と救急室開胸手術の準備が開始された。

救急外来到着まで心臓の拍動は保てた。
超音波検査では心嚢出血の中に
心臓が浮いて踊るようにもがいているDancing heartと称される
心タンポナーデの超音波所見が見えた。
ここからが救命救急センターの腕のみせどころだ。
心タンポナーデの穿刺、
ショックの気管挿管、
加温輸血、
心臓手術準備と同時に進む。
心嚢穿刺は一発で成功したがすぐに管が閉塞した。
すぐに剣状突起上にメスで8cmの縦切開を入れる。
反時計周りに右示指を回しながら奥に進める。
背側にドッジボールのように出っ張る固い張りを触る。
そこをハサミの先で切り開く。
パチンと音がして膜が切れると、
心嚢の中から血餅混じりの血液が勢いよく出る。
これで小刻みな心臓の踊りは止まり、
いつもの穏やかな拍動にもどる。
「よし、救急室ではここまで、手術室へ移動するよ」
私は宣言する。

その後の心臓止血術はうまくいった。
8日目、開眼、発語あり。
・・・・・・・・・
感度する救命救急処置を一度体験してほしい。
医師冥利に尽きる。
それができるのは救急専門医。

・・・・・・
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