北に南に2機 その5

2016年10月30日 18:46

青森CSから無線が入った。
「青森ドクターヘリが野辺地の事案を終えて、
トラック追突事案に出動した。
すでに、現場着陸している。
傷病者は2名なので、
そのまま、八戸ヘリは現場近くのランデブーポイントに向かってほしい」

112D八戸ドクターヘリは津軽半島付け根の海岸から陸に向かう。
海岸沿いの国道には、松の木がところどころに見える。
松の国道を超えて、水田地帯に入った。
県南の田んぼより稲刈りが進んでいる。
青森平野の広大な水田を北から南に分断する2本の直線が見えた。
北海道新幹線の高架橋だ。
その線路に沿うように、国道バイパスが走る。
赤車が見えた。
白車が見えた。
トラックが見えた。
交通事故現場だ。
交差点で追突事故が起こったらしい。
現場は道路封鎖されている。
現場から西に向かう農道にEC135がお尻を向こうに向けて駐機している。
おかしい、現場直近に着陸できるのに、
どうしてだろう。300m以上離れ駐機している。

112Dは113D方向に高度を落としていった。
113Dの上空を越えて、その先で着陸した。
小池整備長が近寄ってきた。
青森ヘリの整備長だ。
東に方向を指さして言う。
「まだ、救助中です」
私、木村研修医、和島看護師はそれぞれ救急バッグを持って、
ヘリコプターを降りて、
農道を小走りに進んだ。
着陸した農道の周りの田んぼ稲刈りが終了していた。
少し走ると、そこの周りの田んぼはまだ黄金色の稲がある。
黄金色は事故現場近くまで続いていた。
そうだったんだ。
ヘリコプターは2機とも、
この収穫直前の水田を避けたんだ。
稲刈り終了の水田近くを選んだんだ。
コメが豊作に実った稲に、ヘリコプターのダウンウオッシュが吹きかかると
収穫に影響が出るかもしれない。
「晴天の霹靂」という、高級な米に傷つくかもしれない。
機長と整備長はそんなことを考えて着陸地点を
選択していた。
(続く)


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