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防ぎ得る死の調査

2016年05月31日 07:55

2016.5.31第30回日本外傷学会シンポジウム
吉村有矢医師が
第30回日本外傷学会シンポジウムで発表しました。
そのあらましです。


Preventable Trauma Death(PTD)
防ぎ得る死とは
外傷後,適切な診療を受けられなかったことにより死亡すること。
気道確保や,緊張性気胸に対する脱気などの標準的な手技が施されていれば,
死亡せずにすんだと考えられる症例を意味する。
防ぎ得る死とかどうかの判定に関しては,
第三者の立場にある複数の外傷専門医による,
診療の全経過に対する同僚審査が理想とされるが,
実際にはTRISS(Trauma Injury Severity Score)法などで算定した
予測生存率(probability of survival; Ps)による判定法を用いることが多い。

日本の外傷診療は進歩している。
防ぎ得る死の減少は外傷診療の究極の目標の1つである。

 防ぎ得る死PTDの歴史は
米国で、
1961 PTDの概念
Van Wagoner FH. J Trauma 1961
1976 Trauma center(外傷センター指定)
1978 ATLS(外傷初期診療ガイドライン制定)
1987 TRISS methodによる判定
Boyd CR, et al. J Trauma 1987
1989 National Trauma Data Bank外傷症例登録制度

国内で
1999 川口救命センターの小関一英医師による防ぎ得る死PTDの論文
2002 防ぎ得る死の全国調査
JATEC (外傷初期診療ガイドライン制定)
2003 日本外傷データバンク開始
    
日本には防ぎ得る死PTD判定の問題点がある
米国では同僚審査peer reviewによるPTDの報告が多数あるが、
日本には第三者によるpeer review(同僚審査)が普及していない。
現在の日本の防ぎ得る死PTDの疫学に関する報告は少なく、その実態は不明

そこで八戸では
当院の防ぎ得る死PTDを調査し、外傷診療の問題点を検討することにした。
調査期間は2010年4月1日〜2015 年9月31日。
日本外傷データバンクへの当院の登録症例の後方視的調査
外来死亡を含む外傷死亡例。

PTDの判定方法は2段階。
① TRISS法
パソコンで予測生存率を計算し、予測生存率50%以上なのに死亡し例を抽出する。
② 同僚審査 peer reviewする。合計7回行った。
診療の全経過に対する客観的審査
死亡の原因と外傷診療上の問題点、改善への方策
適切な標準的診療により死亡を回避できたか(Preventability)
死亡の回避が可能 → Preventable Death(PD)
死亡の回避が困難 → Non-Preventable(NP)

第三者評価者を含む審査を行った。
招聘した第三者医師の資格は以下
いづれか二つ以上を持つ
1 : 救急専門医
2 : 外傷専門医
3 : 外科専門医
4 : 脳神経外科専門医
5 : 整形外科専門医

判定 ガイドライン 根拠となる記録・所見は
Preventable防ぎ得る
 解剖学的損傷や複数の損傷が軽症、あるいは救命可能
 救急隊到着時の生理学的徴候が安定、あるいは不安定でも治療により安定
 標準的な診療がされていない
 不適切な治療が明らかに死亡に関与している
 TRISS Ps>0.5 病院前記録

Non-preventable
死を防ぐことができない
 最適な治療によっても救命困難と思われる重症な解剖学的損傷あるいは、複数の損傷
 救急隊が現場到着時のバイタルサインは重要だが、重症でもNon-preventableの判断には決定的ではない
 ガイドラインに沿った適切で標準的な診療
 治療が標準的かに関わらず、死亡には直接影響しないと思われる
 TRISS Ps予測生存率25%以下の重症

判断の根拠となる所見、記録は
病院前記録
救急隊接触時バイタルサイン
搬送元病院の診療記録
来院時バイタルサイン
ER動脈血ガス
治療手技内容
ERの時間経過
画像検査所見
手術記録・術中所見
手術中の麻酔記録
輸血
診療録
年齢
ISS
合併症
既往症
病理解剖所見

そしてその調査結果は
(続く)


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