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劇的救命

2016年04月28日 18:05

日本医事新報に載った記事です。
プラタナスと言うコラムです。
プラタナス (424x500) (2)


一生に一度でいい、感動する救命処置をやってみたい。
感動する手術をやってみたい。
感動する場面にスタッフとして存在したい。
これが実現できればそれまでの苦労は帳消しだ。

劇的救命(unexpected survivors)という言葉をご存知だろうか。
外傷患者は、損傷部位と形態、バイタルサイン、年齢、受傷機転からか予測救命率を計算できる。
予測救命率が50% 未満の低い重症外傷患者を救命することを劇的救命と呼ぶ。
それは病院前~ER~手術室~ICU~病棟~リハビリテーションと全力で治療しないと成し得ない。
この患者は重症過ぎて救えないよ、あきらめましょう。
手術したけれど残念だったね、仕方ないよ。
この様に目の前で重症患者を失った時に割り切ることが出来る医師もいる。
しかし、患者の家族も看護師も納得できていないことが多い。
もしかしたら、よその病院へ運ばれれば助かったかもしれない。
そんな苦情をよく相談される。
重症患者にあきらめないで立ち向かってほしい。
そのために医師になったはずだから。

瀕死の外傷患者を救うことは難しい。
米国に銃創が多かった時代があった。
その時代、重症外傷を救うには院内に外傷外科医の待機必須だった。
しかし、銃創患者が少なくなり、交通事故による鈍的外傷が外傷診療のメインになると、
外傷外科医の院内待機は必ずしも必要なくなった。
正確な初療を行う救急医がいれば、自宅から外傷外科医を呼び出しても間に合う。
優秀な救急医と少ない外傷外科医の連携で重症外傷を救うことができるのだ。

我が国では、Primary-care trauma life support(PTLS),
Japan advanced trauma evaluation and care( JATEC)、
Japan prehospital trauma evaluation and care (JPTEC)などの
外傷診療標準化コースが10年の歳月を経てようやく普及してきた。
学生や研修医の頃から外傷初期診療を学ぶことができるようになった。
外科医も普段は腫瘍をメインに扱うが、
年に数回しか経験することができないmajor trauma surgeryに文献を読んで立ち向かうようになった。

だが、まだ何かが足りない。
それは外傷診療の質の評価だ。
自分が行なった初期診療が良かったのか悪かったのか、
外科医がとった手術の優先順位と方法が適切だったのかどうか。
そのフィードバックを自らができる施設は国内に限られている。

悪性腫瘍の治療成績は5年生存率で比較され、
劣る施設は改善を目指す。
外傷診療はようやく標準的な初期診療ができてきただけだ。
これからが質を考える時代だ。
日本外傷診療研究機構の日本外傷データバンクに参加しよう。
そして臨床評価指標(Quality Indicator)で比較しよう。


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