質問 脾臓損傷

2016年04月03日 18:26

川越救急クリニックの木川副院長から質問を頂きました.
P1070154 (500x375)
「お久しぶりです。
木川です。
IMG_2234 (500x373)
新年度も始まり、八戸はより盛り上がっていることでしょうか。
当院にも今年度から
自治医大さいたま医療センターの
救命センター後期研修医が研修目的で来ることになりました。
ところで、今先生にお聞きしたいのですが、
小中学生(10-14歳くらい)の
スポーツや交通外傷などで
遅発性に脾損傷が
判明するということは良くあるのでしょうか?

受傷後、腹痛や側腹部痛はあるものの、
超音波検査で腹部出血がなく(FAST陰性)
その何時間後に腹痛が増悪して、
脾損傷が判明するということは多いですか?」



お答えします

超音波検査で腹部出血がない脾損傷は、
すなわちGrade1の被膜下損傷のことです。

腹腔内出血が少ないので超音波で検出されません。
過小評価されます。
何らかの原因で、被膜から血餅が離れれば腹腔内出血が始まります。

その後出血量が多くなり、手術や輸血に至るのが、
成人のGrade1で5%。
小児は被膜が厚いのでさらに頻度は少ないです。

しかし、小児の脾臓は外力を受けやすく、
それは肋骨からはみ出ているためですが。
遊具や、自転車ハンドル、運動、事故と原因も多いです。
これらのせいで小児に脾臓損傷自体が多いのです。
そのため、初診時に脾臓損傷ないと思われても、
後に気付かれることもよくあります。
(最初からあったはず)

成人で脾臓再出血は90%が72時間以内に起こります。
成人で受傷後48時間で反復CTを撮影するプロトコルを用いて、
7%の患者に早期または遅発性の仮性動脈瘤が見つかります。

出典は
The trauma manual
4thからです。
・・・・・・・

「the trauma manual」は
実は軽米医師が中心になって現在翻訳中です。
今年の秋ごろには、
書店に並ぶでしょう。
ご期待ください。

さらに濱舘医師が中心になっての翻訳本
こちらは外傷だけでなく
救急医療全般+集中治療
「Decision making」は夏ごろに
書店に並びます。

そして
「情熱外傷診療」の書籍は5月出版予定です。
現在分担執筆を終了し、
校正段階です。
こちらは、八戸救命医師が全員で
書いている教科書です。
・・・・・・

日常診療の合間に、
睡眠時間を削って原稿作成は大変です。
しかし、
書店に並ぶ教科書に「八戸救命」の文字が常に
出続けることが、
最大の広報です。
最大の人集め効果です。
それを怠ると、
よくある、
地方の市民病院になり、
直ぐに医師不足に陥ります。

ここ八戸に救急医師が集まるのは、
このような、
八戸の救急医師たちの執筆努力によるものです。



コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://doctorheli.blog97.fc2.com/tb.php/2341-3717a35d
    この記事へのトラックバック