次は医療の質を考えてみよう

2016年03月13日 17:56

「標準的外傷診療ができたら、次は質を考えてみよう」

なぜ医師になったのか。
賢そうな医師に憧れて、
親が医師をしていた、
やりがいがある、
患者さんと接すると楽しい、白衣に憧れて、
ドラマや映画などの影響、
数学が得意、理科が好き、

動機は何でもいい。
医師になって、一生懸命に勉強し働けば、
立派な医師になれる。
なぜ医師になったかではなく、
どんな医師になりたいかが大事だ。
困っている患者を救うことができる医師を目指してほしい。

癌で、感染症で、
脳卒中で、交通事故で、
精神疾患で、困っている患者を救ってほしい。

それを目標にすれば、
その目標を達成できた時に満足感を感じる、
達成感を感じる。

つらい研修や修業を乗り越えられる。

劇的救命という言葉をご存知だろうか。

予測救命率が低い重症外傷患者を、
病院前―ER―手術室―ICU―病棟―リハビリと全力で救うことだ。

この患者は重症過ぎて救えないよ、
あきらめましょう。
手術したけれど残念だったね、
仕方ないよ。
もう少し早く来ていたらやりようもあるのに。

このように目の前で重症患者を失った時に、
割り切ることができる医師もいる。
しかし、患者の家族も看護師も納得できていないことが多い。

もしかしたら、よその病院へ運ばれれば助かったかもしれない。
別な医師が受け持ちだったら。

そんな苦情をよく相談される。

重症患者にあきらめないで立ち向かってほしい。

そのために医師になったはずだから。

一生に一度でいい、感動する救命処置をやってみたい。
感動する手術をやってみたい。
感動する場面にスタッフとして存在したい。
そんな場面に遭遇できれば、これまでの苦労は帳消し。

瀕死の外傷患者を救うことは難しい。

米国に銃創が多かった時代があった。
その時代、重症外傷を救うには院内に外傷外科医の待機がないと救えなかった。
しかし、銃創が少なくなり、
交通事故による鈍的外傷が外傷診療のメインになると、
外傷外科医の院内待機は必ずしも必要なくなった。
正確な初療を行う救急医がいれば、
自宅から外傷外科医を呼び出しても間に合う。
優秀な救急医と、少ない外傷外科医の連携で重症外傷も救うことができるのだ。

わが国では、Primary-care Trauma Life Support(PTLS)、
Japan Advanced Trauma Evaluation and Care(JATEC)、
Japan Prehospital Trauma Evaluation and Care(JPTEC)
などの外傷診療標準化コースが10年の歳月を経てようやく普及してきた。

研修医あるいは学生の頃から、
外傷初療を学ぶことができるようになった。
外科医も普段は腫瘍をメインに扱うが、
年に数回しか経験することができないmajor trauma surgeryに文献を読んで立ち向かうようになった。

だが、まだ何か足りない。

それは、外傷診療の質の評価だ。

自分が行った初期診療が良かったのか悪かったのか、

外科医がとった手術適応と方法が適切だったのかどうか。
そのフィードバックができる施設は国内に限られている。

悪性腫瘍の治療成績は5年生存率で比較され、
劣る施設は反省する。
外傷診療は、ようやく標準的な初期診療ができてきただけだ。

これからが、質を考える時代だ。

私は、初期診療の手順を十分わが国に広めた。
手術手技は、ブタを使った講習会で教えている。

足りないのは医療の質の評価だ。

あなたの施設が、医療の質の問題で悩んでいるなら
教えに教えに行ってもいい。

いよいよ外傷診療をわが国に成熟させる
最終章に入る。

質の評価。
それができている施設は少なく。
それを指導できる医師は更に少ない。





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