現場で心嚢開窓手術

2016年03月11日 14:57

緊急事態に現場で手術を行う。
心臓破裂が疑わしい時は、
躊躇なく行う。
ドクターカーV3は現場で手術を安全に行うために開発された。
ここでは現場手術の前例をシリーズで提示している。

・・・・・・・

「五戸町路上に男性が倒れている。」
ヘリ番の光銭,安部医師がERから飛び出していった。
7分後に五戸町に着陸。
男性は心肺停止だった。
超音波で心タンポナーデが見つかり、
ACLSと心嚢穿刺を現場で同時に行う。
16Gで心嚢を狙ったがうまくいかない。
続けて心嚢開窓術(心膜切開術)を行った。
青森県ドクターヘリには、開胸手術セットを積んでいる。
光銭医師はみぞおちの剣状突起を中心に8cmの正中切開をメスで入れる。

つまり、現場で手術をするための道具が積んである。
ドクターヘリは最初から手術室以外の現場や
ドクターヘリ内で手術をすることを想定して
運航されている。

そのまま、剣状突起の白い骨が見えるまでメスを進める。
その深さで、尾側に白線を切開する。
剣状突起の三角形を露出させる。
右示指を剣状突起の背側に潜らせる。
さらに胸骨の背側に潜らせる。
剣状突起の正中をハサミで割る。
右示指を反時計回りに動かし、心膜の硬い壁を確信する。
右胸膜を正中から外す。
一瞬CPRを止める。
安部医師に剣状突起を筋鈎で挙上してもらった。
鉗子二本で硬い心膜をつかみ、その真ん中をハサミでパチンと切る。
切った瞬間に血液が噴き出る。
ハサミの先を閉じてその穴に少し進める。
そしてハサミの先を広げる。
これで切開の穴が大きくなる。
CPR再開。
すると血餅が固まりで出てきた。
22Fドレーンを入れる。
ドレーンの先をバッグにつなぐ。
血液が流れ出る。
心電図波形はPEA。
いまだ十分な心臓の拍動の回復は無かった。
奇跡を信じ、
現場で心タンポナーデを治す、
緊急手術をいたのだが。
ACLSを継続して、ヘリ搬送した。
・・・・・・・

八戸ERに着陸したドクターヘリEC135には、
次のmissionが待っていた。
弘前出動。
晴天の八戸を離陸して、十和田湖を越えて、弘前に向かった
・・・・・・・
弘前から帰ったドクターヘリに
太平洋側の○○町から要請だった。
ドクターヘリで出動したのは、明石医師と安部医師。
男性は心肺停止状態だった。
心電図波形はPEA。
目撃のある心停止でbystander CPRあり。
超音波で心嚢液が大量に溜まっているのが見えた。
今日2回目の心タンポナーデだ。
今回は救命の望みがある先の症例よりある。
心タンポナーデの解除が最優先された。
16G針で心嚢穿刺を行ったが血液は吸引できず。
2回で断念した。
救急車に収容し明石医師は心嚢開窓術(心膜切開)を開始した。
約3分で完結できた。
そしてヘリコプター搬送を開始した。
・・・・・・・


東日本大震災から5年。
あの時を思い出すと苦しい。
たくさんの市民が亡くなった。

合掌


・・・・・・・
シリーズ
「手術室以外で手術」は終了です。
ご愛読ありがとうございました。

明日から、通常記事に戻ります。


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