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2歳出血性ショックER開腹術 その7

2016年03月08日 18:06

CT台に女児は寝ていた。
気管ソウカン状態。
血圧は100.
「頭から骨盤までおねがいします。
単純で。」軽米医師が技師に説明していた。
最近のCT撮影は早い。
まず、CT室のモニターで頭を見た。
「よし、手術適応なし。
このままで行ける。
丸橋先生、血管造影に取り掛かって」
「はい」丸橋医師は走り去った。
高田脳外科医師に詳しくCTを見てもらった。
やはり、手術は必要ない。
「肺挫傷ひどいですね」軽米医師
「肺挫傷は、人工呼吸で粘るよ」私
「血管造影ですね」軽米医師
「そうだ、次の優先順位は頭ではない。
肝臓TAEだ」私

劇的救命チームは女児をERベッドに乗せて、
17時55分今度は血管造影室へ移動した。

私はみんなが左へまがったのと逆に右へ向かった。
両親がいるCT室前の廊下まで。
「心配した頭の怪我は軽いです。
良かったですね。
ただし、右肺がつぶれています。
これも重症。
今度は、肝臓破裂に対して、
血管の中から止血する手術を行います。
子供なので、血管が細く、難しいです。
1時間くらいかかります」
私は説明した。

血管造影室では、丸橋医師と貫和医師が手術ガウンを着ていた。
18時10分血管造影開始。
実は私がこれまで、血管造影で塞栓術(TAE)を成功したことがあるのは5歳が最年少。
2歳はまだ経験がない。
しかし、出血性ショックの肝臓破裂は、
ダメージコントロール手術とTAEがコンビネーション。
二つで救命することが鉄則。
女児を救うには、TAEが必要。
4フレンチカテーテルで挑む。
丸橋医師も真剣だった。

数回のカテーテル操作でシェファードフックを腹腔動脈に入れることができた。
そこで造影剤をカテーテルに流す。
「えっつ、右肝動脈から出血あり。」
「脈が速くなりました。変です」吉村医師
「カテーテルからの注射で止まっていた動脈から出血し出したんだ」私
「輸血早めます」吉村医師
すでに、青いガウンを着て丸橋医師のそばでカテーテルを手伝っていた私は
出血しだしたことに対する落胆はしなかった。
細い大動脈の中で、カテーテルにループを作り、
さらにそのループの先を細い腹腔動脈に入れることが出来たことに感動していた。
「大丈夫、いま出血しても、TAEで止められる。
それに、重症頭部外傷はない。
あと、15分踏ん張れ」私

丸橋医師はマイクロカテーテルをさらに使う。
4Fカテーテルの中に針金ほどのマイクロカテーテルを入れた。
いい位置に進める。
丸橋医師は、レントゲンを出しながら、
カテーテルの位置決めをする。
「ここでいい、深追いやめよう。
右肝動脈が太いところで詰まっても大丈夫。
肝臓は生きる。
それより、出血が続いている。
早く決着をつけよう。
(続く)


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