2歳出血性ショックER開腹術 その2

2016年03月03日 18:03

ERへ女児は着いた。
先回りしていた吉村医師はすかさず、喉頭鏡を口に入れた。
そして4mmチューブを気管ソウカン。
成功。
人工呼吸を止めて、直ぐに呼吸状態を観察する。
呼吸数は40回。
両側上がる。
トウコツ動脈は弱い早い、
冷やせあり。
再び、人工呼吸を始めた。
ショック+意識障害だ。
呼吸音を聴診器で聴く。
肺呼吸音は、右がおかしい。
やはり肺挫傷だろう。
こんなときは、気管ソウカン後に、気胸になりやすい。
要注意だ。
胸部レントゲン撮影のためにフィルムが背中にしかれた。
軽米医師が超音波検査をする。
「腹部出血あり」
「あつ、現場と違う」河野医師
輸液を早めにして血圧を測定する。
丸橋医師が手首の動脈に針を刺す。
動脈に針を入れて直節動脈圧測定をするのだ。
重症が予想される場合は必須。
外傷集中治療がすでに始まっている。
血圧値が出た。
70mmHgだ。
幼児は大人より血圧が低い。
正常で90くらい。
この場合はショックだ。

気道、呼吸、循環の評価の次は中枢神経。
意識と瞳孔、四肢麻痺を見る。
意識はソウカン前にGCS4点。
瞳孔は正常。
手足は現場で動いていた。
頚髄損傷では動かないはず。
やはり頭部外傷を疑う。
四肢は動いていても、今回は頭部外傷もあるので、
頚髄損傷の危険が高い。
頸と頭はくっついているのだ。
重症頭部外傷の5-10%に頚髄頸椎損傷が隠れている。

輸液に血圧が反応してくるはずだった。
しかし、頻脈が変わらない。
おかしい。
もう一度超音波検査をする。
「やばい、腹部出血増量」軽米医師

その場を離れていた私にPHSが入った。
「FAST陽性、悪化、ショック」軽米医師は短い言葉をつないだ。
私は走った。

ER2ベッドの女児を見た。
腹部膨隆なし。
顔色悪い。
そして私は自分で、もう一度超音波検査をした。
「出血多いね、循環血液量の20%くらいか?
輸液に反応しない腹部出血だから開腹手術をするよ。
手術室用意。
15分後開始だ」私
本当は今すぐ手術したいけれど、
手術室の準備時間も必要。
わたしは15分をそれに当てた。
吉村医師が曇った顔で答える。
(続く)


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