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手術室以外で手術 現場救急車で開胸手術 後編

2016年02月24日 18:28

波形は、PEA.
現場開胸術(Emergency, Scene Thoracotomy;EST)開始。
丸橋医師が、メスを握る。
左乳頭の下を斜め上に向けて切開する。
最初は強く引く。これで皮膚から大胸筋まで一気に。
第5肋間を右指で確認し、そのラインに沿ってメスを走らせる。内側は大胸筋、エキカ側は前鋸筋を切開。
三番目のメスで肋間筋を優しく切る。
そして、右指を強く肋骨の間に差し込む。
抵抗を感じそしてそれがなくなりぬける。
胸膜に穴を開ける。
指を抜いて、左示指と中指を穴にいれる。
二本の指の間をはさみで左右に切る。
ピンク色の肺が見えるはず。

しかし、見えたのは大出血。
いまは、大出血の海。
生暖かい赤い血が吹き出る。
救急車の床に血液が滴る。
「大量血胸だ、そして心タンポナーデもあるはず」私

ここで意外な声。
「病院に着きました」隊長
夢中で蘇生手技を行ったせいで、
病院到着に気づかなかった。

バックしてERの玄関に車が入る。
停車した直後に、後ろドアが開いた。
明石医師が尋ねた
「輸血はO型ですか」明石
「そうだ」私
オレンジ色のバックボードに載せられた男性は、ERベッドに移された。
「開胸心マッサージして」私
「研修医の斉藤先生もガウンを着て」私
左胸からは血液の流れが止まらない。
「おかしい、心臓破裂ではないぞ。
肋骨骨折も数本、肺損傷も軽い。
それで、大量血胸の考えられる原因はただ一つ。
胸部大動脈損傷だ。
人工呼吸をやめて、大動脈損傷部をみるよ。
大動脈損傷なら、好発部位は、左鎖骨下動脈分岐のすぐ尾側のはず。
そこを診るよ」
人工呼吸止めて診た。
果たして、結果は胸部大動脈損傷だった。
完全にちぎれていた。
これでは、救命不能だ。
救命を断念した。
AIS5点。

合掌。

手術室以外で手術 現場救急車で開胸手術 完


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