防ぎ得た外傷死とは

2016年02月11日 18:26

連載中ですが、
別な話題です。

 日本全国で不慮の事故,外傷によって死亡する若者は後を絶ちません.
懸命に治療したにもかかわらず,
ある外傷患者が死亡したとき,
その患者は本当に救命することは不可能だったのでしょうか.
本当に救命できないほどに
「重症だった」「手遅れだった」のでしょうか.
「もっと早く病院に運ばれていれば…」
「もっと早く手術していれば…」
「適切な治療ができていれば…」
救命できたのかもしれません.
 実際は救命できなかった外傷患者のうち,
治療過程に何らかの問題や改善すべき点があり,
もし適切な治療が行われれば,
死亡を回避できたと思われるものを,
「防ぎ得た外傷死」Preventable Trauma Death(PTD)といいます.
外傷診療の質の向上のためには,PTD を 1 つでも減らすことが最も重要であり,
PTD の発生と頻度を客観的に分析する必要があります.

PTD の判定方法
 PTD の一般的な判定方法は,
TRISS 法と同僚審査 peer review によるものです.
前述の TRISS 法によって算出された予測救命率は,
患者が死亡した場合に,
その死亡が避けられたかどうかを判定するための
客観的基準となります.
しかし,予測救命率だけによる死亡が避けられたか の判定には,
その正確性や信頼性において限界があります.
Karmy-Jones らは予測救命率>50% にもかかわらず死亡した症例を,
「予測外死亡」 と定義しました.
予測外死亡に関して,
外傷の専門家が複数集まって,
その死亡の原因や治療内容について問題がなかったか
協議することを同僚審査といいます.
同僚審査の結果,
もし適切な治療が行われたならば,
死亡を回避することが可能であったとされた場合,
PTD と判定します.

八戸市立市民病院救命救急センターでは年2回
院外から専門家を招聘し、
同僚審査による協議を行っています。

皆さんの施設ではどうように
協議していますか?
・・・・・・
[V3不発」の記事は
お休みしています。
代わって明後日から
手術室以外の緊急手術の前例の特集を
一か月間組みます。


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