ツキノワグマ その2

2016年01月18日 18:31

親戚は家にいた。
幸運だ。
その有様を見て、家の電話で119通報した。
そこでは、携帯電話は不通地帯。
家電話のみ通じる。
麓と言っても、まだ山の中。

119通報は15時10分。
救急車が1台出動した。
消防はすこし遅れてドクターヘリ要請をする。
山の中で、着陸地点を決められなかったのだ。
着陸地点選定に手間取った。
岩手県ドクターヘリは、出動中だった。
代わって、八戸ドクターヘリに相談の電話が来た。
出動できるかどうか。
天候が気になる。
CSは天候は問題ない。
だが、日没が気になる。
日没まで30分くらいしかないので、
ドクターヘリは、患者を収容して基地病院に帰ることは不可能と思えたから。
CSは、ヘリ番の私に電話してきた。
私は
クマ外傷であることと、
僻地で起こった外傷であることを考えて、
出動を決めた。
機長は天候なら大丈夫という。
山岳地帯は雲があるけれど、
海岸線を岩手県北まで下りることはできるという。
問題は、早く離陸しないと、
現場まで到達できない。
日没まで時間が迫る。

機長、整備長、私、伊藤研修医、工藤ナースはEC135に乗り込み、
シートベルトをして待機した。
1分でも早く離陸したいから。
エンジンスタートし、
要請を受けてすぐに離陸できる体制をとった。
まだ、要請は来ない。
そして、要請が15時30分に来た。
同時刻の数秒後にEC135は離陸した。

ランデブーポイントに患者が来て入れば、
ヘリコプタースタッフの現場活動時間を5分で切りつめて、
患者をヘリコプターに収容して離陸できるかもしれない。
左に太平洋をみながら機長はそんなことを
後方席のわれわれに提案した。
わたしもそう思った。

だが、事件は単純ではなかった。
(続く)


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