スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

喫煙女性・妊婦の死 後編

2016年01月01日 10:40

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくおねがいします。

それでは
連載の続きです。

救急室では、天井の無影灯にスイッチが入った。
吸引器と、開腹手術セットが用意された。
3分後救急車が到着した。

これまで、救急室で頭、胸、腹、骨盤、大腿など、
多くの部位を緊急で手術してきた。
だから、救急室で帝王切開をすると宣言しても、
ナースは驚かない。
産婦人科医を要請しているが、
到着が遅ければ
私が、実行する。
ナーズは私の勢いに
そう感じていた。

運がよかった。
救急隊は、心臓マッサージはしていない。
人工呼吸だけ。
心停止していなければ、
話は別。

「経皮酸素飽和度はいくつ?」
「98%です」汗だくの隊長が答えた。
外は寒いけれど、救急隊は汗びっしょりだった。

「カイザーはしないよ」私は宣言した。
「血糖見て、血圧を下げて、気管挿管、それから、頭のCT」私は続けた。
脳出血だった。
それも大きい。
手術不能。

夫は泣いた。
「助かりません、あきらめてください、ただし、子供は助けられます」
産科医師による診察が始まった。
胎児は良く動く。
皮膚からも触れた。
問題ない。

産科医師と夫の話し合いで、
まず、自然分娩を選択、
陣痛がこなければ、
帝王切開。

翌朝、
脳波検査では、脳波平坦。
呼吸は停止している。
咳き反射なし、
瞬きなし。
目は固定。
脳死としうる状態だ。

午前11時、陣痛がきた。
胎児の頭が、見えた。
そして、ゆっくりと、分娩が進んだ。

元気な赤ちゃんが生まれた。
助産師は母親の胸に抱かせた。
赤ちゃんはよく動く、
だけど母親は動かない。

私は、母親に入れていた薬剤をすべて中止した。
初乳に影響を与えないために。
赤ちゃんは、母親の乳首に吸い付いた。
母親からは、薬剤の混じらない、きれいな初乳があふれ出た。
だが、薬剤の中止は延命治療の終了を意味する。

生後3日後、新生児のたった一人の母親は天国へ逝った。

禁煙!

喫煙女性・妊婦の死 完


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://doctorheli.blog97.fc2.com/tb.php/2266-a5c21664
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。