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またも日没前岩手県北に出動 その5

2015年12月17日 18:43

連載の前にお知らせです。
八戸救命の特集が
ラジオで流れます。
2015年12月19日、午前6:30~7:00
青森県民放ラジオRAB
青森県外のかたは、
パソコンradiko.jp
スマホ でラジコ検索
・・・・・・
それでは連載の続き

この二つの検査で筋道をつけたかったがそうはいかなかった。
「この場に8分とどまります」
輸液を開始した。
身体所見を詳しく診察する。
大動脈解離なら、
そしてそれが手術適応なら
陸送で八戸へ運ぶ。
その鑑別をするのがドクターヘリチーム。
そうでなければ、
直近施設で入院治療できる範囲の病気なら、
近くの施設に運ぶ。
その判断を現場でするのがドクターヘリチーム。
ERと同様にできるだけ詳細に診察する。
むくみはない。
貧血はある、
甲状腺は腫れていない。
呼吸音にラ音はない。
頸静脈は腫れていない。
瞳孔は正常。

心臓超音波検査をする。
心臓の聴診をする。
腕の血圧の左右差を診る。
左右差ない。
四肢血圧差左右差もない。

最悪のシナリオの大動脈解離ではないようだ。
しかし、完全に否定するには、
CT検査だ。
心筋梗塞の非典型例か、
他の心臓疾患か。
脳卒中も考えられる。
血圧が高すぎる。
心不全だろうか。

収容病院の選択に入る。
全てをうけいれる八戸救命まで陸送2時間。
ヘリコプター15分はもはや時間切れで無理。
診療に制限はあるが、心不全、脳卒中は
診療できる施設が近くにある。
近くといっても、
陸送40分以上。

仮に最悪のシナリオ
大動脈解離であったとしても
昏睡状態では、人工心肺の手術は行わない。
心臓を一度止めて、人工心肺を使って行う
大動脈解離手術では、脳機能を保つことが重要だ。
手術が終わって、心臓を止めたせいで、
意識が戻らないでは困る。
だから、脳に障害が予想されるときは、
手術しない。
この患者に対して大動脈の手術は今日はしないだろう。

であれば、陸送2時間は無駄に終わるし、
むしろ患者に害だ。
「陸送で久慈病院に運びます」
「ヘリ搬送ではないのですか」隊長
「ドクターヘリは、日没で20分前に帰りました。
我々を残して」

45分かけて久慈病院へ運んだ。
搬送途中で久慈病院へ収容依頼の電話をする。
「初期治療を終わっています。
救急車のストレッチャーで直接CT室へ入りたいのです。
できますか。」
「はい、わかりました。用意します」

わたしは、沼宮内ナースに指示した。
「動脈血採血をすぐに久慈病院の救急室のガス分析器械に入れてくれ」
「特に急ぐのですね」
「そうではない、いつも通りに急ぐ。
ここで採血済み。
検査結果がわかれば
CTの撮影範囲決定に役立つ。
私は、患者ともにCT室へ移動する。
ガス分析の結果が出たら、
携帯電話で私に教えてほしい」
「はい」

久慈病院に着いた。
空は真っ暗だった。
救急車から降りた我々は寒さをさらに感じた。
自動ドアを開け、温かいERを通りぬけ、
CT室へ向かう。
脳卒中らしければ、
このまま、患者を久慈病院へ置いてゆくつもり。
大動脈解離らしければ久慈病院医師と相談する。
(続く)


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