部活中に心停止 その3

2015年12月10日 20:19

点滴をとりつつ、採血と血糖測定。
低血糖はなかった。
意識障害が強く気管挿管管理が必要だが、
歯を食いしばっており挿管には鎮静が必要。
幸い、気道は保たれ、自発呼吸もしっかりしている。
嘔吐もない。
八戸ERまでは5-10分の距離。
良好な予後が期待できる患者であり、
救急車内で気管挿管するよりも、
ERで準備万端な状態で気管挿管することを選択した。

心停止した原因だが、
若年の心室細動や心室粗動であれば、
やはりいろいろ疾患が鑑別に上がる。
ドクターカー装備薬品ですぐに使えるのは
QT延長症候群に対する硫酸マグネシウムくらい。
硫酸マグネシウムには心筋細胞膜安定化作用もあり
不整脈に対する有利な効果があるかもしれない。
硫酸マグネシウム20mgをゆっくり静注した。
(※現在の日本で心室細動に対する硫酸マグネシウムの保険適用はありません。)

ここで八戸ERに第2報を入れる。
「心室細動後自己心拍再開、意識なし、
気管挿管はERで、
循環器科医師スタンバイおねがいします」

患者の状態を観察しながら救急車は八戸ERに到着した。
ER到着後、予定通りに気管挿管した。
心電図、心エコーからは心筋梗塞などの虚血性心疾患は否定できる。
緊急心臓カテーテル検査は必要ない。
低体温療法のために冷却はすでに始められていた。

救命救急センターでの集中治療の結果、
患者は意識回復した。
そしてまったく後遺症を残さず普通の高校生に戻った。
後日、ICD(植え込み型除細動器)留置のため弘前大学病院に転院となった。
(続く)


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