部活中に心停止 その2

2015年12月09日 18:18

AEDでショック作動するということは
心室頻拍か心室細動。
原因として年齢からは心筋梗塞などの虚血性心疾患は考えにくいだろう。
部活中ということからは
時折ニュースとなる
運動選手の心臓突然死?
QT延長症候群やBurugada症候群等による致死性不整脈?
何らかの心筋症?
はたまた冠動脈奇形等の先天性障害?
そんなことを考える。
考えに集中したせいか、
サイレンが静かになったことに気付かなかった。
ドクターカーは現場である高校のグラウンドに乗り付けていた。
グランドに停車していた救急車内に患者は収容済みのようだ。
救急車の後ろのハッチドアが閉まっていた。
高校生たちの視線が赤い現場出動服を着た貫和亮太医師たちに集中する。
心配そうに見つめる部活終わりの高校生たちを横目に医師たちは
救急車内へ駆け込んだ。
車内のストレッチャーの上には
ジャージを着た長身体型の高校生。
運動部らしく日焼けしている。
モニターが装着され酸素投与されていた。
陸上部で走り終わったところで卒倒したのだ。
痙攣あり、目撃した教師がCPAと判断し胸骨圧迫開始、
1-2分でAED到着、
最初のAED解析でショックが作動したとのこと。
特別な既往歴はないらしい。
教師は私が以前AEDの講習をした男性。
今回見事に、蘇生処置をやった。

内科疾患でも外傷同様ABCDでアプローチすると抜けが少ない。
歯を食いしばりいびき様呼吸あり
ネーザルエアウェイ挿入し、
気道を開通させた。
自発呼吸は保たれている。
橈骨動脈はしっかり触知、
モニター上は心拍100洞調律、
モニターで見る範囲ではST変化なし。
心エコーでは壁運動は良好、
心嚢液なし。
意識はGCSでE4V1M2。
四肢は力が入っており、除脳硬直、除皮質硬直様の動きが見られる。
この四肢を突っ張る形の
除脳硬直、除皮質硬直は脳中枢神経系に
ダメージが及んでいることを示唆する。
脳卒中では四肢を突っ張る形は予後不良の指標となる。
しかし、心停止後早期に自己心拍再開した場合、
この動きが見られても
適切な集中治療を行えば社会復帰する例は何度も見てきた。
貫和亮太医師は失望はしない。
(続く)


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