ドクターカー独り立ちはサンダーバード作戦 その3

2015年11月23日 18:43

旋回を始めて10分過ぎに、
ようやく赤いポンプ車が運動場に入ってきた。
風向きを確認後に、
EC135は静かに着陸した。

左後ろドアから開いた。
整備長が開けてくれたのだ。
メインローターが回る下を
腰をかがめて、
ヘリコプターから遠ざかる。
整備長が右手で指し示す方向に走る。
赤車と、黒い刺し子の消防士が近づいてきた。
「現場が道路から1.5km山道を上がったところ、
まだ救出作業中です。」
「それなら、赤車で我々を現場近くまで送ってもらえますか」
「現場近くの道路はここからすぐ。
車を降りてから1.5km山を登る」
「1.5km山道ですか。てごわいですね。
Ok,
でもヘリはどうしようか」
「日没が近いです」
「そうですね。
日没前に、ヘリは帰投してもいましょう。
我々医師2名、ナース1名で現場に向かいます。
現場まで案内を協力できますか」
「はい」

赤いポンプ車の右ドアが開いた。
加藤ナース、栗原医師がよじ登るようにして、
ポンプ車の後部席に入った。
救急バッグ、外傷バッグ、超音波装置を持つ。


私が、ドアに手を掛けた時、
遠くからピーポーサイレンが聞こえた。
そして次の瞬間に、
辺りに、反射する鋭い赤いLEDストロボが見えた。
ドクターカー1号だ。
この光の強さは
アメリカウィーレン社製の強力赤灯だ。
国産のLEDとは出力が違う。
近付いたドクターカー1号の
後部席には、
東医師の姿が見えた。
東医師は3年目。
半年間、ドクターカーの
トレーニングを受けた。
そして、
経験と実力がついてから
一人で、ドクターカーに乗る。

実は今日が、一人でドクターカーに乗り込む
初日。

その、初日から
難易度の高いドクターカー出動になった。
現場の判断、決定、が求められる。

雨のため、天候不良だったので、
ドクターヘリの保険で
ドクターカーが同時に病院を出動していたのだ。

視界不良で、ドクターヘリが途中帰投する場合に、
スピードはヘリコプターにかなわないが、
地上をドクターカーが走る。
サンダーバード作戦だ。
そのサンダーバード作戦の中心に
東医師がいた。
(続く)


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