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失明する重症な肝臓の膿

2015年11月12日 18:11

日本救急医学会で発表したものです。
発表者は
貫和亮太医師

内容
失明した肺炎桿菌による浸潤型肝臓膿瘍の2例

【症例1】
84歳女性
目が見えない
【既往歴】糖尿病(インスリン自己注射)
受診4日前より感冒様症状、食思不振。
3日前より悪寒戦慄を伴う発熱、下痢があり、
近医で加療。
受診当日、突然両目が見えなくなり紹介で八戸ERを受診した。

血圧 107/57、脈拍 86、
呼吸 24、
体温 37.6℃、
意識清明

視力両側光をようやく感じる程度
結膜充血、眼球圧痛あり
項部硬直あり、
Jolt accentuation(+)
腹部平坦・軟、肝叩打痛あり、
神経学的に特記所見なし

血液検査
異常値
白血球上昇
血小板減少
肝機能悪化

髄液検査
細胞数著増

経過
肝膿瘍、髄膜炎、眼内炎の合併。
肝膿瘍にチューブを入れてドレナージした。
抗菌薬投与(CTRX+ABPC+VCM)。
穿刺液培養からムコイド型Klebsiella pneumoniae。
眼内炎に対し抗菌薬の眼内注射。
抗菌薬CTRX単剤へ変更し計3週間投与継続した。
以降、LVFXに変更し、計6週間継続。
髄液検査で細胞数減少。肝膿瘍腔は消失した。

一命は取り留めたが
眼内炎は悪化し結局失明した。


【症例2】
64歳女性
【既往歴】特になし。
受診4-5日前に微熱あり、近医で感冒として処方。
受診前日右眼が見えなくなり、近医眼科受診した。
発熱もあった。
受診当日、左眼も見えなくなり自宅から救急搬送で八戸ER入室。

血圧 153/90mmHg、脈拍 120/min、
呼吸 24/min、体温 39.7℃、意識清明

視力両側光を感じる程度
結膜浮腫・充血あり
項部硬直あり、
Jolt accentuation(+)
呼吸音清、腹部平坦・軟、圧痛なし
神経学的に特記所見なし

血液検査
異常値
白血球上昇
血小板減少
肝機能悪化

髄液検査
細胞数増

経過
肝膿瘍、眼内炎、髄膜炎、両肺の細菌塞栓の合併。
肝膿瘍にチューブを入れドレナージした。
抗菌薬投与(CTRX+ABPC+MNZ)。
髄液、穿刺液培養からムコイド型Klebsiella pneumoniae。
眼内炎に対し抗菌薬眼内注射(VCM+CAZ)した。
CTRX単剤へ変更。
第17病日、見当識障害、右片麻痺あり。
多発脳膿瘍合併した。
抗菌薬は計10週間継続。
肝膿瘍、肺細菌塞栓は消失、脳膿瘍消失、
リハビリにより麻痺も改善した。

結局眼内炎は悪化し失明した。

考察

浸潤型肝臓膿瘍
転移性感染巣のうち眼内炎の視力予後は非常に悪い。
初診時に良好な視力あり早期治療介入されれば視力維持の確率が高まる。
髄膜炎・脳膿瘍合併例でも神経学的後遺症を認める例がある。
これらは2004年ころより欧米の学者から報告されてきた。
まだ、国内に多くの医師が知る所でない。

糖尿病等のリスク因子のある患者において、
ムコイド型肺炎桿菌による肝膿瘍や菌血症がある場合、
浸潤型肝臓膿瘍を疑い、積極的な転移性感染巣の検索と、
注意深い経過観察が必要。
眼内炎の視力予後は悪く、
速やかな治療介入が必要だが、
眼科医にも本病態が知れ渡る必要がある。


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