意識ある状態ではじめたPCPSにより劇的救命

2015年11月02日 18:20

日本救急医学会で発表しました。
発表者は栗原祐太朗医師

[症例] 70歳男性
[主訴] 倦怠感、胸部不快感
[現病歴]
来院2日前、37.5℃の発熱と倦怠感あり。
前医受診し、感冒薬処方で帰宅。
来院1日前、38℃の発熱、めまい、持続する胸部の鈍痛があり
前医を自家用車で再受診。入院し、点滴開始。
来院当日、
採血結果、心臓超音波所見、ショック状態から、
心筋梗塞疑いと診断され、
当院へ救急車で転院搬送となった。

[来院時身体所見]
血圧 65/46mmHg、HR 102bpm、RR 20/回でショック状態
末梢に冷汗あり。

[来院時経過]
心機能低下による心原性ショックと考えた。
昇圧剤投与のための準備段階で、徐脈出現した。
徐々に脈拍伸びていき、心停止となった。
CPR開始した。
30秒ほどで体動・発語あり。
自己心拍再開した。

[治療方針]
急性心筋梗塞または心筋炎による心原性の循環虚脱に対して、
人工心肺PCPS導入を決定した。
心停止からの自己心拍再開後にも関わらず、
意識はGCS15点のほぼ清明意識レベルだったため、
意識ある状態でのPCPS確立の方針とした。
右鼠径部を1%キシロカインを用いて局所麻酔を行い、
右大腿動静脈にそれぞれチューブを入れた。
PCPSによる循環開始後に血管撮影室へ移動した。

[意識下PCPS中の経過]
循環器科による心臓カテーテル検査では、
心臓の冠動脈に狭窄病変はなかった。
心筋梗塞ではなかった。
先行症状や症状経過の速さ、身体所見・検査所見より、
劇症型心筋炎と診断した。
大動脈バルーンパンピングでさらに心臓を補助しながら
集中治療室へ移動した。
集中治療室入室後の心臓超音波では心機能悪化認めた。
意識レベルは変わらずに開眼していた。
(血圧 130/80mmHg、脈拍 90bpm)
飲水は可能だった。
その後は完全房室ブロックによる徐脈が出現し、
脈拍は50bpm→30bpm→20bpmと変化していった。
あらかじめPCPSが回っていたので
あわてずに済んだ。

その頃より、胸部不快感を訴え始めた。血圧や酸素化には問題なかった。
口渇感と胸部不快感から不穏状態となった。
鎮静・鎮痛の後に気菅挿管した。

すぐに一時的ペースメーカを皮膚から挿入し、ペーシングを開始した。
[その後の経過]
心機能回復まで数日かかった。
回復まで対症的に加療した。
9日目  PCPS離脱
10日目  気管挿管抜管
31 日目 自宅へ独歩退院した。

劇的救命



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