地震現場で下肢切断手術

2015年10月29日 18:46

ラグビーワールドカップで日本チームの頑張りが
国民に感動を与えました。
そのワールドカップの決勝は
10月31日オーストラリア―とニュージーランドです。

6年前のことです。
ニュージーランドで大地震が起きました。
その大地震で犠牲になった日本人の話です。

ニュージーランドで大地震で重量物に挟まれて
脱出不能になった日本人男性に対して、
現場へ出動した医師が、
男性の下腿を切断する手術をその場で行いました。

そして無事救出されたのです。
その日本人男性は、
テレビで笑顔を見せて国民は感動したものです。
安心した男性の顔が新聞やテレビに出て
国民みんなが安堵したはずです。

この日本人男性を救出した医師のことかかどうか不明ですが、
オーストラリアの医師が、
崩壊した建物で足を挟まれて救出不能であった男性の足を、
ケタラールで麻酔して、
「アーミーナイフ」と
「大工さんが使う糸鋸」を使い現場で下腿を切断した記事が
ほぼ同時期に話題に上がりました。

糸鋸は救助隊が車両に閉じ込められた傷病者を救出するときに、
金属を切り離すためのノコギリです。

使ったケタラールは、痛みがよく取れる麻薬です。
ケタラールは都合がいいことに、
少々使いすぎても呼吸が止まらないので、
現場で処置するときによく使われます。
60kgの男性なら、6から12ml注射します。
短時間の切断手術なら、一回の注射でOKです。

緊急現場切断は平滑な切断面を意識する必要はありません。
あとで病院できれいに断端形成手術をするための
追加手術すればいいはずです。

すばやく切断して、危険な場所から安全な場所へ移動する。
安全な場所で止血操作をして、
さらにヘリコプターなどで後方の病院へ運ぶのです。

現場四肢切断の適応は、以下のいずれかの場合です。
1.皮一枚でかろうじて繋がっているとき。
2. 火災の延焼などで危険が迫ってきており、
救出まで時間を要することが確実で、
要救助者の救命のためには四肢を切断するしかない
3. 要救助者の全身状態が悪く、
救命するためには一刻も早く病院での治療が必要なとき

私が、10年前川口救命センターにいた頃に、
同僚の塚本医師が現場出動し、
現場で切断したことがあります。
その時は、皮一枚で、その先は、
使い物にならないくらいザメツしていました。
骨も砕けていたので、容易に切断できました。

ニュージーランドとオーストラリアのラグビーの活躍を見て、
思い出しました。


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