人食いバクテリア 最終

2015年08月29日 18:02

いよいよ最終回

1994年に英国発のニュースが週刊誌に
「人食いバクテリア」としてセンセーショナルに取り上げられて話題となった。
その症状は、四肢の疼痛等から始まり、
手足の壊死、
それに伴うショック、
意識が悪い、尿が出ない、呼吸が危ない、
黄疸、血小板が下がる、
など多臓器不全などを併発し死に至る恐ろしい疾患。
死亡率は約30%と細菌感染症の中でも高率。
人食いバクテリアと言われるゆえんである。

基礎疾患がなく、
はっきりした感染源も明らかでなく
健康な30代以上
の男女に突然発症するのが特長。

患者には、濃厚な集中治療が行われた。


しかし、一向に全身状態は上向かない。
助けられるのか、
我々も一瞬自信がなくなる。

血液ろ過治療を開始した。

翌日、命に関わる場合を想定して、カンファランス。
最悪事態を予想する。
その時は切断だ。
でもその前にもう一度切開を追加する。

もう一度、手術室で傷を
切開することにした。
今度は、さらに大きく手術する。
それでもダメなら最悪は、切断。

3日後、血圧が安定した。
発熱も低下。
これなら、救命できる。
切断しなくても乗り切れる。

4日後、人工呼吸を終了した。
気管チューブを抜いた。
5日後「よかったね、助かりましたよ」私
「死ぬかと思った」患者
「苦しいところはありますか」
「胸」
「今何をしてみたい?」
「子供に会いたい」

劇症型感染症からの救命。
派手さはないが、これも劇的救命。

基礎疾患がなく、はっきりした感染源も明らかでない
健康な30代以上の男女に突然発症するのが特長。
専門家に相談をしたり、
高次病院に転送する時間さえギリギリという状況が多い。
患者因子(年齢や基礎疾患)、受診のタイミングも関連するので、
その施設の可能な限りの手を尽くしても救命できないことがある。

劇症型A群溶血連鎖球菌にはペニシリン系、マクロライド系薬剤を使うが、
感染部位は血流が低下しており抗菌薬が到達しにくい。
感染組織をできるだけ外科的に取り除くとともに、
迅速な集中治療が必須である。

あの大ヒットした、ドクターヘリドラマ「コードブルー」の中で、
山Pたちも本症を救命できなかった。


人食いバクテリア 完


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