2人の脳梗塞治療 スピードが命 その9

2015年07月25日 18:23

「どうですか?」大沢医師が尋ねる。
「いま発症からちょうど1時間くらいです。
たぶんM1の心原性脳塞栓症です。」吉村医師
「そうですか。CTの結果、脳梗塞だったら、
rt-PAをまず開始。
そのまま血管室かな?時間があれば、
MRIも撮影しようか」
CTを操作する小島放射線技師の顔を見ながら大沢医師が話す。
「いいですよ。どちらも準備しておきます」
小島放射線技師が快く答えた。
今日は休日だが、ちょうど夜勤との入れ替えの時間で
技師の人手は多い

CTの画像を、たくさんの医師が固唾をのんで見守る。
一見して、頭部CTは異常がないように見えた。
白い出血はない。黒(脳梗塞)だ。

「黒だね。
ほんの少し早期虚血変化が見えているような気がするけど、
中大脳動脈も光っている。
M1で間違いない。
やるしかないね、
血栓溶解だ。」
大沢医師が決断する。
救急医も、みな頷いた。
「よし。じゃ、すぐにERに行ってrt-PA投与だ!
そろそろ採血結果が出ているかもしれない。
辰尾先生は、すぐにNIHSS。
村田先生は禁忌事項をチェックして、
薬剤の準備。
栗原先生は大沢先生と血管室の準備に行って。」
貫和医師が的確な指示を次々と出していく。
彼の頭の中にはこの後のシナリオがすでに描かれているようだ。
辰尾研修医は、弘前大学を今春卒業した1年目研修医。
地元弘前大学から、年間数人しか八戸研修医にならない。
人気がないのか、
採用試験が難しいのか、
かわりに、遠方の大学卒業生が入り込める。
栗原医師は3年目。軽米、丸橋医師と同じく
新潟大学卒業。
東京出身だけど、
八戸救命で活躍する母校の先輩にあこがれて
八戸研修医に来た。
そして、今は3年目。
(続く)


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